原因と責任
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 15:53 UTC 版)
セスナ機が本来進むべきR5誘導路でなくR6誘導路に誤進入したこと、及び、その誤進入に管制もパイロットも気付かなかったことが原因である。 リナーテ空港は数年前に地上レーダーを導入していたにもかかわらず、事故発生当時は使用していなかった。滑走路へのR5誘導路とR6誘導路の分かれ目の標識は、好天ですら非常に見にくく、さらに誘導路上に書かれていた文字が掠れて読みづらくなっており、これをセスナ機のパイロットが誤認した可能性がある。また、誤進入検知センサーは誤作動が多いため止められていた。セスナは滑走路上の「S4」という標識を管制塔に報告したが管制官の地図に「S4」の表記はなく、管制官はこの報告を聞き流した。濃霧のためセスナ機のパイロットは2人とも686便に気付かなかった。皮肉なことに、事故の前日にも、同じようにR5誘導路とR6誘導路を間違えて滑走路に進入しようとした機が滑走中の他機とニアミスを起こし、あわや大惨事になるところだった。その事案が事故調査の最中に発見されたため、事故調査委員会は空港の設備に問題がある疑いを強めることになった。 事故の約1ヶ月前、アメリカ同時多発テロ事件が起きたため、当初はテロも疑われた。 2004年4月16日、ミラノの裁判所はこの事故についてリナーテ空港の責任者と管制官に8年の懲役刑、前管制責任者と前空港長に6年6ヵ月の懲役刑の有罪判決を言い渡した。このうち2006年7月に行われた控訴審では前管制責任者と前空港長については刑罰を科さなかったほか、イタリア議会の恩赦によって罪に問われた者の刑罰も3年減刑され、2007年イタリアの最高裁判所もこの控訴審の判断を支持した。
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