危険な徴候
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 07:21 UTC 版)
頭痛は、緊急に集中治療を施さなければ死に至る疾患の表徴であることがある。その疾患とはクモ膜下出血、髄膜炎、大きな脳出血の3つである。脳腫瘍も放置すれば確実に死に至るが、緊急度では前3者には遠く及ばない。また、重度の緑内障発作であった場合には、生命には影響しないが失明の危険が大きく、緊急度は高い。 それらの疾患を示唆する徴候は以下の通りである: 今までに経験したことがないような頭痛か、今までの頭痛で最悪の頭痛 (first, worst):クモ膜下出血、髄膜炎 高齢者の初発頭痛:脳出血 5歳未満の初発頭痛 持続進行性の頭痛(経過観察中の悪化など):髄膜炎、脳腫瘍 突発(何時何分に起きた、何をしている時に起きたと正確に言える):クモ膜下出血 全身症状(発熱、るいそう、痙攣) 神経症状(麻痺、複視)・精神症状などを伴う(特に1時間以上持続):脳出血 項部硬直がみられる(髄膜刺激症状がある):クモ膜下出血、髄膜炎 眼底検査で鬱血乳頭がみられる:本節すべて 担癌患者、免疫不全者、妊婦の初めての頭痛 発熱・発疹を伴う:髄膜炎 未明・早朝からの頭痛 運動、性行為、バルサルバ法により誘発された頭痛 頭を振ると頭痛がとてつもなく増強する(Jolt accentuation):髄膜炎 明るい物を見ると頭痛が増強する:緑内障、クモ膜下出血 虹彩が円盤状でなく球面状になっている:緑内障 最近の頭部外傷 : 硬膜下血腫 プライマリ・ケアにおいて頭痛を診療する医療従事者は、以上の徴候を見逃さないことが防衛医療の上でも重要である。特に急速に増悪する頭痛、病歴のつじつまが合わない、以前と違う、神経局在所見、睡眠から覚醒させるほどの頭痛がある場合は頭部CTが施行される場合が多い。危険な二次性頭痛を疑う兆候としてはSNOOPというものが提唱されている。 SNOOP内容Systematic symptoms 全身性症状(発熱、倦怠、るいそう、筋痛)、全身性疾患(悪性疾患やAIDS) Neurological 神経欠落症状 Onset abrupt 突然の発症、雷鳴頭痛、急速に悪化 Older 40歳以上の新規発症 Pattern change 以前と異なる頭痛(頻度、持続、性状、重症度)
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