危険な生き物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/06 14:32 UTC 版)
イモガイはその貝殻の色や模様が美しく、また美しいサンゴ礁の周辺や砂浜など人目につく場所にいることが多いのでよく素手で拾い上げられるが、その後皮膚に密着させていたりすると外敵とみなされて毒銛で刺され、死に至るケースがある。イモガイ1個体に含まれる毒は、およそ30人分の致死量に相当する。アンボイナ C. geographus は俗に英語で cigarette snail (葉巻貝)と呼ばれているが、これは、タバコを一服する間に死を迎えるという意味である。同種は沖縄県でもハブガイ、ハマナカーといった俗名があるが、前者はその毒性を毒蛇のハブに喩えたもの、後者は刺されたら陸に辿り着く前に浜の途中で死ぬ、といった意味を持つ。毒銛は、ときに軍手やウエットスーツさえ突き抜ける。琉球列島では1896-1996年の間に確認された被害例が30件あり、死亡例はそのうち8件、それらはすべてアンボイナによるものであった。加害例そのものではほかにニシキミナシ、タガヤサンミナシ、ヤキイモの例があった。 イモガイの刺した直後は全く痛みを感じず、自覚がないことがほとんどであるが、その後しばらくして患部に激痛が生じ、続いて痺れ、腫れ、疼き、めまい、嘔吐、発熱といった症状が出る。ひどい場合は、視力や血圧の低下、全身麻痺、さらには呼吸不全により死に至る。イモガイの毒には抗毒血清がないので、毒が被害者の体内で代謝され抜けきるまで、なんとか生命を持ちこたえさせることが唯一の救命策である。アンボイナではその毒は神経性で、呼吸筋の麻痺によって死に至るが、心筋や中枢神経には被害が及ばないため、人工呼吸器で対応することで乗り切れるとのこと。
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