単純所持の規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 05:49 UTC 版)
2014年(平成26年)6月の児童ポルノ法改正で、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」を「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」(2条3項3号)に改正して厳密化し、「学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない」(3条)とした上で「自己の性的好奇心を満たす目的で、自己の意思に基づく」単純所持について規制が導入され、法施行から1年後に罰則規定が施行されることになった。 2014年の法改正以前においても、日本以外の多くの国では単純所持が禁止されており(#日本国外での状況)、かつては主要国首脳会議のメンバーの中で日本とロシアのみが単純所持を禁止していないとしばしば槍玉に挙げられた。ロシアは2009年の刑法改正で単純所持が禁止された。 2008年、法政大学准教授の白田秀彰は、「18歳未満の人物の裸の写真が扇情的な様相で掲載されている写真集」を1冊保有していることを宣言し、単純所持の違法化が実現した際には、まず自らを摘発することを法執行関係者に呼びかけた。 2014年の法改正以前においても、以下の一部の地方自治体の条例では、児童ポルノ単純所持について刑事罰規制が導入されている。 奈良県 - 子どもを犯罪の被害から守る条例(2005年) 正当な理由がなく、13歳未満の児童ポルノの単純所持をする者に対して、30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。 京都府 - 京都府児童ポルノの規制等に関する条例(2011年) 正当な理由がなく、18歳未満の児童ポルノの単純所持をする者に対して、知事は廃棄命令を出すことができ、廃棄命令に従わなければ30万円以下の罰金に処する。さらに13歳未満の児童ポルノを有償で取得した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。 2012年7月にこの条例が初適用され、単純所持していた男性に対し廃棄を指導した。 栃木県 - 県子どもを犯罪の被害から守る条例(2013年) 正当な理由がなく、13歳未満の児童ポルノの単純所持をする者に対して、公安委員会の廃棄命令を出すことができ、破棄命令に従わなければ30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。 大阪府 - 青少年健全育成条例 2011年3月改正で前述の「子どもの性的虐待の記録」の所持をしない努力義務が規定された。
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