単位元の添加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 04:32 UTC 版)
マグマ (M, ∗) が与えられたとき、M に M のどの元とも異なる新たな元 1 を付け加えた集合 M1 := M ∪ {1} で任意の a ∈ M1 に対して a * 1 = 1 * a = a と定めて、M の演算 ∗ を M1 上に延長することにより、元 1 を M1 の ∗ に関する単位元とすることができる。この (M1, ∗) を (M, ∗) の 1-添加という。
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単位元の添加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/12/31 08:52 UTC 版)
任意の非単位的環 R に「単位元の添加」を行って単位的環 R^ にすることができる。これを実現するもっとも一般的な方法は、R に形式的な単位元 1 を追加して、1 と R の元との整係数線型結合の全体を R^ とすることである。つまり、R^ の元は適当な整数 n と R の元 r に対する n·1 + r (n1 + r1)·(n2 + r2) = n1n2 + n1r2 + n2r1 + r1r2 で定める。 より厳密を期すならば、台集合 R^ として直積集合 Z × R を取り、加法と乗法を (n1, r1) + (n2, r2) = (n1 + n2, r1 + r2), (n1, r1)·(n2, r2) = (n1n2, n1r2 + n2r1 + r1r2) 「任意の単位的環 S と任意の擬環準同型 f: R → S が与えられたとき、単位的環準同型 g: R^ → S で f = g ∘ j を満たすものがただ一つ存在する」 この写像 g は g(n, r) = n·1S + f(r) とおけば得られる。この普遍性の意味で R^ は R を含む「もっとも一般の」環である。 また、(n, r) を n へ写す自然な全射単位的環準同型 R^ → Z が存在して、その核は R^ における R の像となるが、j が単射ゆえ R が R^ に(両側)イデアルとして埋め込まれること、および剰余環 R^/R が Z に同型となることが確かめられる。即ち、 「任意の擬環はある単位的環のイデアルであり、単位的環の任意のイデアルは擬環である」。 ここで j 決して全射にならないことに注意が必要である。これはつまり、R がもともと単位元を持つ環であったとしても、得られる単位的環 R^ というのは R のものとは異なる新しい単位元を持ったより大きな環になる(R の単位元は R^ においてはもはや単位元でない)ということを意味する。 擬環に対する単位元の添加の過程を圏論的に定式化することもできる。すべての単位的環と単位的環準同型のなす圏(単位的環の圏)を Ring, すべての擬環と擬環準同型の成す環(擬環の圏)を Rng で表せば、環の圏 Ring は擬環の圏 Rng の(充満でない)部分圏で、上記 R^ の構成(単位元添加)は包含函手 I: Ring → Rng の左随伴になる。これはつまり、単位的環の圏 Ring は反射子 j: R → R^ を備えた Rng の反射的部分圏であるということである。
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