南米地域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 01:19 UTC 版)
南米は全般に先住民・白人・黒人の三者が混交し、メスティソ(先住民+白人)・ムラート(白人+黒人)・サンボ(先住民+黒人)などの集団が存在する。音楽もメスティソ系とムラート系に分けられるが、それぞれの存在の比率により、メスティソ系(白人の要素が強い、メキシコ・アルゼンチンなど)・メスティソ系(先住民の要素が強い、ペルー・ボリビア)・ムラート系(ブラジル海岸部・カリブ海地域)などと分けられる。 ブラジルでは18世紀にルンドゥーという踊りの音楽が成立し、最初は野卑なものとして上・中流階層の非難を浴びたが、やがて洗練されて都会的な歌謡形式へと変化した。このルンドゥーは19世紀半ばに同じブラジルで生まれたショーロと混交し、19世紀終わりごろにサンバへと発展する。またアルゼンチンではハバネラのリズムの影響のもと、19世紀末にタンゴが生まれている。タンゴもまた世界的に広まったので例えば日本の演歌などにも影響を与えており、民衆の音楽のグローバリゼーションの最初の例と言われている。もっとも有名なタンゴ「ラ・クンパルシータ」は、24時間365日常に世界のどこかで必ず演奏されているとの伝説もあるほどである。 ルンドゥーもハバネラも付点8分音符と16分音符を組み合わせた軽く跳ねるリズム感をもち、ポルトガルもしくはスペインの音楽にアフリカ的リズム感を加味したものと考えられるが、これがその後のラテン・アメリカの音楽の基調となった。ショーロやタンゴやサンバ、後に現れるキューバのルンバなどもこのリズムの延長上にあると言える。 このようなカリブ海地域・南米地域の音楽はラテンの音楽などと呼ばれるが、これがポピュラー音楽の歴史上の要所要所で大きな影響を与え続けることになる。後にはキューバからマンボやチャチャチャ、トリニダード・トバゴからカリプソ、マルティニーク島とセント・ルシアからビギン、ブラジルからボサ・ノヴァ、ジャマイカからレゲエなどが生まれ、世界的にも流行している。なお、先の分類でいえばムラート系の影響が勝っていることには留意すべきであろう。
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