南イタリアのギリシア方言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 03:43 UTC 版)
「ギリシア語」の記事における「南イタリアのギリシア方言」の解説
プッリャのオトラントと南カラブリアのBovaの方言 破擦音/t∫/、イタリア語と同様の重子音、子音連続の硬口蓋化、連続する子音の同化、喉音の発達、動詞中・受動態の未完了過去3人称単数人称語尾-ενο、アオリスト命令形-σο、アオリスト分詞の存続:-γραφοντας, φονασοντας、不定形の名詞的用法の保持;το κλαφει σου=το κλαμα σου, το απεσαει =το αποθανειν その他の方言でも、音韻変化において閉鎖音から摩擦音への遷移過程(通時言語学的現象)、前舌化、上昇・閉音化、中音化(centralisation)の現象・シュー(/∫/)音化・/t∬/音化・躁音化・無声軟口蓋閉鎖音の硬口蓋閉鎖音化等さまざまの音韻変化が諸方言に分散し、古代ギリシア語からコイネーの時代を経て現代の各地域の方言・またコイネーからアテネ方言への推移をも通時言語学・共時言語学において論証することができる。 特に如上のキプロス方言、またクレタ方言等は現在も遡及の可能な多量の文献が存在するので、現代語の通時的推移・共時的視野を論証させてくれる。また、母音交替・子音交替・語中音(γ)添加.語尾音(ν)の添加、ふるえ音化等のさまざまな音韻変化または交替現象・古典語からの伝統である音便νの保持など、現代の諸方言は、古典からコイネーを経て分散した各方言の通時・共時言語学上の貴重な音韻変化を現在も維持している。現代の現用言語(langue vivante)である「ギリシア語」は、古代からの継続言語であり、「現用言語のギリシア語」の完全な理解には古典ギリシア語の素養も不可欠である。
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