半金属に近い元素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 10:03 UTC 版)
多くの化学者や関連する科学の専門家によって、金属と非金属の中間に位置する元素の分類という概念はしばしば拡張され、通常半金属であるとは認められない元素が半金属に含まれることがある。 1935年、フェルネリウスとロビーは、炭素、リン、セレンおよびヨウ素を、ホウ素、ケイ素、ヒ素、アンチモン、テルル、ポロニウムおよび当時未発見だった原子番号85番の元素(その5年後の1940年に作られたアスタチン)とともに元素の中間的な分類に含めた。ゲルマニウムは、当時はまだ伝導性に乏しい金属であると考えられていたため、この中間的な元素の分類からは除外された。 1954年、サボーとラカトシュは、ベリリウムとアルミニウムをホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、ポロニウム、アスタチンとともに半金属のリストに含めた。 1957年、サンダーソンは、炭素、リン、セレンおよびヨウ素をホウ素、ケイ素、ヒ素、テルルおよびアスタチンとともに、特定の金属特性を有する元素の中間的な分類の一部として含め、ゲルマニウム、アンチモン、ポロニウムは金属に含めた。 最近の事例では、2007年、ペティは、炭素、リン、セレン、スズおよびビスマスをホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、ポロニウムおよびアスタチンとともに半金属のリストに含めた。 これらのような一般的な半金属の近くに位置する元素は通常は金属もしくは非金属として分類されるが、しばしば半金属に近い (near-metalloid)などと呼ばれる。 アルミニウム、スズおよびビスマスのようにこの緩やかなカテゴリーに入れられた金属には、例えば、変わった充填構造を取る、分子もしくは重合状態において共有結合を取る、両性金属としてふるまうといった性質を示す傾向がみられる。それらはまた、弱い金属 (weak metals)、貧金属 (poor metals)、ポスト遷移金属 (post-transition metals)もしくは、これらの金属における前述の不完全な金属的性質を意図してセミメタル (semimetals)などとして言及され、このような分類グループは一般には周期表の同一領域を指し示しているが、必ずしも同一の元素を相互に含んでいるというわけではない。 非金属に含まれる金属のうち、炭素、リン、セレン、ヨウ素は、それらの環境条件が熱力学的に最も安定した形状(炭素ではグラファイト、リンでは黒リン、セレンでは灰色セレンなど)において、金属光沢、半導体性(例えば中程度の電気伝導度、比較的狭いバンドギャップ、光感受性)、伝導体もしくは価電子帯の非局在性を示す。これらの元素は半金属的、半金属性を示す、半金属のような、いくらか半金属(的)、金属的性質を有している、などと評される。
※この「半金属に近い元素」の解説は、「半金属」の解説の一部です。
「半金属に近い元素」を含む「半金属」の記事については、「半金属」の概要を参照ください。
- 半金属に近い元素のページへのリンク