半金属性の発現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 10:03 UTC 版)
通常半金属として分類される元素は電気陰性度が1.9から2.2の間に集まっている。電気陰性度が大きな元素は電子が強く原子に引きつけられているためs軌道のエネルギーが非常に低くなり、ns軌道とnp軌道のエネルギー差が大きくなるため電子が局在化した共有結合性のワイドバンドギャップ(すなわち絶縁体)であるような非金属的な性質が現れる。逆に、電気陰性度が小さな元素は電子が原子に引きつけられる力が弱いためs軌道のエネルギーが高くなり、ns軌道とnp軌道のエネルギー差が小さくなるため電子が非局在化した金属結合性のバンドギャップの無い(すなわち導体)金属的な性質が現れる。半金属元素の1.9から2.2という電気陰性度はちょうどこの両者の中間に位置するためns軌道とnp軌道のエネルギー差が中程度となり、したがって一部の電子が非局在化した共有結合性と金属結合性を併せ持つ中程度のバンドギャップ(すなわち半導体)という半金属元素特有の性質が現れる。 ホウ素が半金属性を示す理由は、その大きなイオン化エネルギーにも起因している。ホウ素の第一イオン化エネルギーは8.296 eVと比較的大きく、そのためホウ素はイオン化してイオン結合を形成することなく共有結合性の結合を形成する。したがって、単体においてもホウ素原子どうしは共有結合性の強い結合で結びついており、自由電子として導電性に寄与できる電子が少ないため導電性を示すものの導電性は低いという半金属に特有な性質が現れる。
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