前史時代のハイパーテキストシステム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/08 15:09 UTC 版)
「Memex」の記事における「前史時代のハイパーテキストシステム」の解説
ブッシュの1945年の論文において、memex は個人が使用する電気機械式装置として描かれており、大きな自己完結型の図書館を構成し、それにリンクと注釈という形で「連想の航跡(associative trails)」を追加したり、他人の連想の航跡をたどって読んだりできるとしている。 使用するテクノロジーは、電気機械式制御、マイクロフィルムのカメラとリーダーなどで、それらを大きめの机に全て組み込む。マイクロフィルム化された図書館はその机の中にほとんど納まっているが、ユーザーは必要に応じてマイクロフィルムのリールを追加・除去できる。 机の上面は傾斜のある透過型スクリーンになっていて、そこにマイクロフィルムを投影して読むことができる。また、最上部にはプラテン(英語版)があり、手書きのノート、写真、メモなどをそこに置き、レバーを押下することで未使用のフィルムにそれらを撮影して収めることができる。 ブッシュによればmemexとは「一種の機械化された個人用ファイル兼ライブラリ」である。マイクロフィルム、乾板写真、アナログコンピュータを使い、索引付けした膨大な知識の保管所へのアクセスを可能にするもので、どんな知識でもほんの少しのキー押下で呼び出せるという。 memexのビジョンは1960年代の初期の実用的なハイパーテキストシステムの着想を与えたとされている。ブッシュがAs We May Think(英語版)で示したmemexなどのビジョンは1930年代と1940年代の既知のテクノロジーから外挿したもので、ジュール・ヴェルヌの考え方やアーサー・C・クラークが1945年に提案した静止衛星による通信などと近い。ブッシュの提案したmemexはマイクロフィルムのコマとコマにリンクを設定できるが、現在のハイパーリンクのように文書の中の単語や文節や画像をリンクすることはできない。
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