制定後、帝国議会開会前に廃止された場合の扱い及び既存の法律・緊急勅令を廃止する場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 14:49 UTC 版)
「緊急勅令」の記事における「制定後、帝国議会開会前に廃止された場合の扱い及び既存の法律・緊急勅令を廃止する場合」の解説
緊急勅令の帝国議会による承認は、将来に向かってその効力を存在させるものに限るため、すでに次の帝国議会開会時点で廃止されたもの、及びその緊急勅令を廃止する緊急勅令については帝国議会の承諾を求めないのが先例であり、既存の法律を廃止する緊急勅令も同様であるとされている。このうち既存の法律について廃止する緊急勅令について帝国議会の同意を求めるべきであるという決議が第26回帝国議会衆議院において満場一致で決議されている。 これらの批判を受けて、既存の法律又は緊急勅令の廃止は、適用する必要がなくなったものを廃止する場合は、承諾が不要であるが現に効力のある場合の廃止は、効力の一時停止であり、帝国議会の承諾がない場合は効力を復活するとの検討が政府内でされている。 この文書は、戒厳適用の緊急勅令を廃止する緊急勅令(一定ノ地域ニ戒厳令中必要ノ規定ヲ適用スルノ件廃止ノ件(昭和11年勅令第189号)の閣議決定文書、内閣総理大臣の天皇への内奏案、枢密院における内閣総理大臣演説案とともに綴られている。作成者の記載はないが内閣の名のはいった用紙が使用されていることから法制局等の関係者が枢密院での質疑における答弁用に作成したものとあるいは実際の枢密院での審議の記録と思われる。 二二六事件の際の戒厳令適用についての緊急勅令(一定ノ地域ニ戒厳令中必要ノ規定ヲ適用スルノ件(昭和11年勅令第18号))は、反乱鎮圧の後も反乱将校の裁判が続くなど理由で解除されず、1936年(昭和11年)5月4日に召集された第69回帝国議会(5月26日閉会)において承諾がされた。 その後7月になり治安も落ち着いたとして緊急勅令(一定ノ地域ニ戒厳令中必要ノ規定ヲ適用スルノ件廃止ノ件(昭和11年勅令第189号))で解除された。この緊急勅令は、すでに承諾がされた緊急勅令を廃止するものであるので、承諾前のものを廃止する場合とは扱いが異なるとされたようで、1937年(昭和12年)1月19日に第70帝国議会に対して承諾案件が提出された。この議案は、広田内閣の退陣と林内閣の成立に伴い、他の多くの議案とともに2月3日に一旦撤回されたが、3月23日に再度提出された。しかし、これも3月31日に衆議院解散により審議未了になった。しかるに失効の扱いはされず、また以後の議会へ再度提出もされなかった。
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