初代星の形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/14 15:10 UTC 版)
現在の宇宙論モデルでは、ビッグバンで形成されたすべての物質は大部分が水素 (75%) とヘリウム (25%) であり、リチウムやベリリウムなどのその他の軽元素は極めてわずかな割合しか存在しなかったと考えられる。宇宙が十分に冷却した段階で、初代星は他の重元素の混入が無い状態で種族IIIの恒星として誕生する。恒星を作る物質に重元素が含まれないことはその恒星の構造に影響を及ぼし、そのため初代星の質量は太陽の数百倍になったのではないかと推測されている。その後これらの大質量の恒星は非常に急速に進化し、元素合成過程によって最初の26種類の元素 (周期表における鉄まで) が生成される。 多くの理論的な恒星モデルでは、大部分の大質量の種族IIIの恒星は核融合を起こすための燃料を急速に使い果たし、極めて高エネルギーの対不安定型超新星を引き起こすだろうということが示されている。この爆発によって恒星の物質は完全に分散され、金属が星間物質へと放出され、後の世代の恒星に含まれることになったと考えられる。これらの恒星が急速に進化して破壊されるということは、銀河系内では大質量の種族IIIの恒星は観測が不可能であることを示唆する。しかし、赤方偏移が大きい遠方の銀河からの光は宇宙の歴史の初期に放射されたものであり、これらの銀河中には種族IIIの恒星が観測できる可能性がある。種族IIIの恒星はこれまでに発見されていないものの、太陽よりわずかに小さい、極めて金属量が少ない恒星としては非常に小さい恒星が銀河系内の渦状腕の連星系 2MASS J18082002−5104378(英語版) に発見されている。この発見は、さらに年老いた恒星が銀河系内で観測される可能性を開くものである。 対不安定型超新星を引き起こすには重すぎる恒星は、光崩壊として知られる過程を経てブラックホールへと崩壊するだろうと考えられている。このときにいくらかの物質は宇宙ジェットの形で恒星から脱出し、宇宙空間に最初の金属が分配されたと考えられる
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