恒星の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/10 00:32 UTC 版)

恒星の構造(こうせいのこうぞう、英語: Stellar structure)に関するモデルは恒星の内部構造を詳細に記述し、光度や色(スペクトル分類)、恒星の進化の予測を行う。星の階級や年齢によって元素の構成やエネルギー輸送の機構が異なるために内部構造は異なっている。
エネルギー輸送

恒星内部の熱は対流や放射輸送によって外部へ放出される。ただし、白色矮星では熱伝導によっても外部に熱が伝わる。恒星内のガス塊が断熱過程によってわずかに上昇しただけでも上昇し続けるほど十分な温度勾配を持つ場合、対流はエネルギー輸送の主要なモードとなる。この場合、ガス塊が周囲の気体より高温であれば浮力が働いて上昇し続け、低温になれば元の高さまで下降していくこととなる[1]。 温度勾配が小さく、放射によるエネルギー輸送が可能なほど不透明度が小さい領域では、放射がエネルギー輸送において主要なモードとなる。
主系列星の内部構造はその星の重量によって異なる。
太陽を含む0.3-1.5 M☉(太陽質量)の恒星では、水素からヘリウムへの核融合は主に陽子-陽子連鎖反応を介して行われるため、急峻な温度勾配は形成されない。そのため、太陽質量前後の質量を持つ恒星の内層でのエネルギー輸送は、放射が支配的である。一方、外層では水素が中性水素原子となるほど低温となり、紫外線光子に対して不透明となるため、対流が支配的となる。このように、太陽質量前後の質量を持つ恒星では、内層に放射層が、外層に対流層が存在する構造となっている。
1.5 M☉より質量の大きな大質量星では、中心温度が1.8×107 K以上となり、水素がヘリウムに変換される核融合の経路はCNOサイクルが主となる。エネルギー生成率はCNOサイクルで温度の15乗に比例するため、エネルギー生成率が温度の4乗に比例する陽子-陽子連鎖反応より大きなエネルギーが生み出される[2]。 CNOサイクルの温度感受性は強く、恒星の内側では温度勾配が急峻となり、核においては対流が見られる。恒星の外層では、温度勾配はより緩やかであるものの、水素がほぼ完全にイオン化し、紫外線に対してもほぼ透明な状態を保つほど高温となる。このため、恒星の外側では主に放射が見られる。
質量が小さい主系列星では、放射層が存在せず、恒星全体において対流がエネルギー輸送の主要な要素となっている[3]。
恒星の構造方程式
恒星モデルの内、もっとも単純なモデルは恒星を定常状態かつ球対称であると仮定した球対称準静的モデルである。このモデルでは4つの一次微分方程式を定めることができ、うち2つは物質や圧力の半径に対する依存性を表す方程式で、もう2つは温度や光度の半径に対する依存性を表した方程式である[4]。
仮定した球対称性を用いて恒星の構造方程式を立てる際には、恒星の中心から
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