成果と後継計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/11 00:10 UTC 版)
「ヒッパルコス (人工衛星)」の記事における「成果と後継計画」の解説
ヒッパルコス衛星によって全天の恒星の位置が精度良く観測され、多くの星の距離が年周視差から明確に決定できた意義は非常に大きい。この観測データに基づいて多くの科学的な研究が行われた。まず、精度良く距離が測定できた星の数が大きく増加したことにより、HR図の精度が向上するとともに、それぞれの星のHR図上での位置が細かくわかるようになった。その結果、恒星の構造と進化についての研究が進んだ。また、恒星の距離と運動速度を統計的に扱うことにより、太陽系近傍の銀河円盤の構造と力学についての研究がなされた。そして、宇宙の距離梯子の重要な段階についての研究が進んだ。他の多くの研究も含め、2007年までに得られた研究成果について、ヒッパルコス衛星のプロジェクトマネージャーであったMichael Perrymanがまとめた本が出版されている。 ヒッパルコス衛星の位置決定精度では、誤差10%以下の十分良い精度で距離が観測できたのは地球から約100パーセク以内の星であり、天の川銀河の大きさ(中心まで地球から約8000パーセク)に比べると非常に短距離である。また、星は固有運動によって徐々に位置が変化しているため、固有運動の観測誤差によって現在の星の推定位置の誤差は毎年増大している。そこで新たなより高精度の観測を行う必要あり、そのための後継計画が欧州宇宙機関によるガイア計画と日本の国立天文台が中心に推進しているJASMINE計画である。
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