うちゅう‐の‐きょりはしご〔ウチウ‐〕【宇宙の距離×梯子】
宇宙の距離梯子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/30 08:27 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動宇宙の距離梯子(うちゅうのきょりはしご)とは、宇宙に存在する天体の、地球からの距離の測定方法の総称である。地球から遠方にある天体の距離を直接測る方法は複数提案されているが、それぞれには限界があったり、または期待される値の精度が距離によって制約されるなどの問題があり、使い分けを余儀なくされている。そのため、天体の距離判定は天文学における難問のひとつとなっている[1][2]。
現状では広大な宇宙にあるすべての天体距離を測る統一的方法が存在しないため、ひとつの方法で近い天体の距離を測定し、それを基準に別な方法でさらに遠方の天体距離を求め、これを繰り返さざるを得ない。この過程が、高低差がある地面に梯子を架けながら徐々にステップを踏み進んでいく様に似ていることから、距離梯子という名で呼ばれている[1]。
以下、一般的な距離梯子について、近距離から順に解説する。
個別の距離梯子
レーザーパルス
地球近傍の惑星や衛星の距離はレーザーを用いて測ることができる。惑星に向けてレーザーを発射し、それが惑星表面で反射して戻ってくるまでの時間を計り、光速度をかければよい[2]。ただし、遠方になればなるほどレーザー光は拡散し、また往復の時間が掛かりすぎるため[2]、地球に非常に近い惑星にしか使うことができない。
太陽面通過
水星と金星は太陽系で地球の内側を公転する。地球とこれらの内惑星の公転面は厳密に同一平面にはならないが、ごく稀に太陽に影を作るように、太陽と地球の間を通過する。これが太陽面通過(あるいは日面経過)である。この時、太陽のどの部分を通過したかを地球の複数の箇所から測定し、地球と内惑星の距離を別の方法で求めておく事により、地球と太陽の間の距離を測定できる。
ケプラーの法則
太陽までの距離計測には表面が光を反射しないためレーザーを使えない。そのため、この計算には別の手段で観測された太陽系惑星のデータを用い、ケプラーの第3法則から導かれる[1]。
この法則では、惑星の公転周期の2乗は軌道の長半径の3乗と比例する。これを利用し地球から金星までの距離 L2 を基準に計算すると、金星の公転周期は合の観測から224.7日と得られる。地球の公転周期は365.2日であるため、地球から太陽までの距離を L1 とすると、
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