成果と失敗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 17:08 UTC 版)
欧州石炭鉄鋼共同体は鉄鋼の生産量を増加させた。石炭については雇用と生産量を減らしながら生産性を向上させた。加盟国間では、石炭の貿易量は10倍となるなど通商関係が促進された。最高機関は生産量の向上と経費削減を促すために産業界へ280件も融資を実施していた。また、国境通過の際の関税を廃止したことで経費がさらに削減された。最終的に石炭価格は米国炭のダンピングに屈した。西ドイツは石炭に対するエネルギー依存を1967年に前年の3701ペタジュールから3291ペタジュールへ縮小させた。 西ドイツの対アジア輸出は1952年に8億マルク程度だったのが、1956年に19.95億マルクに増えた。1956年の輸出先ではインドが突出して8.19億マルクであった。このように輸出が伸びた時期にちょうどインド準備銀行が行った外資等の実態における調査は、英米ないし国際機関による投融資が主体であった事実を記録している。西ドイツからの輸入は英米等の直接投資が呼び込んだものと推察される。数字としては成功だが、しかし金融においては当時から英米に主導権を握られていた(フランスが良い例)。 厚生面では欧州復興に貢献した。15年以上にわたり労働者に対して11万2500件の共同住宅購入向けの融資を実施し、1件あたり平均で1,770USドルを貸与されたことで労働者は手の届かなかった住宅を購入することができた。さらに欧州石炭鉄鋼共同体は、石炭・鉄鋼関連施設が閉鎖されて職を失った労働者の転職にかかる費用の半額を支払った。地域の再開発支援とあわせて欧州石炭鉄鋼共同体は1億5000万ドルを拠出して10万件の雇用を創出し、その3分の1は失業した石炭・鉄鋼関連の労働者に割り当てた。欧州石炭鉄鋼共同体が考案した社会保障政策は加盟国政府の一部で石炭・鉄鋼業以外の労働者にもその対象を広げられていた。
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