分解と syzygy
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/23 13:44 UTC 版)
ホモロジー代数の手法の代数幾何学への応用において、多項式環上の次数加群と考えて R の自由分解を適用することは(現代の用語は異なるが)ヒルベルト以来の伝統である。これはsyzygy(英語版)、すなわちイデアル I の生成元の間の関係についての情報をもたらす。古典的な観点では、そのような生成元は単に V を定義するために書き下す方程式である。V が超曲面であれば 1 つの方程式だけが必要で、完全交叉(英語版) (complete intersection) に対しては方程式の数を余次元にとれる。しかし一般の射影多様体はそんなに透明な定義方程式集合をもたない。例えば標準曲線やアーベル多様体を定義する方程式(英語版)の、詳細な研究はこれらのケースを扱う系統的な技術の幾何学的な興味を示す。主題はまた古典的な形式での除去理論(英語版)からも出る。そこでは I を法とした還元がアルゴリズム的過程になることになっている(今では実際的応用でグレブナー基底によって扱われる)。 一般的な理由のために K[X0, X1, X2, ..., XN] 上の次数加群としての R の自由分解が存在する。分解が極小 (minimal) であるとは、分解における自由加群の各加群の射 φ:Fi → Fi − 1 における像が JFi − 1 にあるということである。中山の補題の結果によってこのとき φ は Fi − 1 において生成系の極小集合の Fi の与えられた基底をとる。極小自由分解 (minimal free resolution) の概念は次のような強い意味で well-defined である。そのような分解は(チェイン複体の同型を除いて)一意であり任意の自由分解において直和成分(英語版)として現れる。R に内在的なこの性質によって次数ベッチ数 (graded Betti numbers) の定義ができる。すなわち Fi から来る次数 j の像の数である βi, j(より正確には、斉次多項式の行列として φ を考えることによって、右から帰納的に得られる次数によって増加するその斉次次数の成分の数)。換言すればすべての自由加群における重さは分解から推論することができ、次数ベッチ数は分解の与えられた加群の与えられた重さの生成元の数を数える。与えられた射影埋め込みにおける V のこれらの不変量の議論は、曲線の場合にさえ、研究領域である。 これらは極小自由分解が明示的に知られている例である。有理正規曲線(英語版)に対してそれは Eagon–Northcott complex である。射影空間における楕円曲線に対して分解は Eagon–Northcott complex の写像錐(英語版)として構成できる。
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