写真技法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/01 05:16 UTC 版)
「フェリシアン化カリウム」の記事における「写真技法」の解説
フェリシアン化カリウムの酸化力を利用すると、金属銀を銀イオンに酸化させることが出来る。これを利用して、臭化カリウムなどの適当なハロゲン化イオンを含むフェリシアン化カリウムの水溶液(濃度は20g/L程度)に、現像済の白黒フィルムないし印画紙を浸漬すると、銀像が薄くなる。酸化された銀はそのまま臭化銀として塗布された乳剤層のゼラチン中に析出する。フェリシアン化カリウムはこのような「再ハロゲン化」減力剤ないし漂白剤として使いやすく、昔から白黒処理で使われている。 チオ硫酸ナトリウム(ハイポ)との混合物は「ファーマーの減力液 (Farmar's reducer)」として知られ、プリントやネガの濃度を減らすのに利用される。この場合、酸化した銀はチオ硫酸との錯体として水溶液中に溶出するが、これによる脱銀は不十分であり、ファーマーの減力液の使用後は、再定着をするのが安全である。また、チオ硫酸塩は還元剤であり、フェリシアン化カリウムと混ぜると前者が分解してしまうために使用液の保存はできない。また、減力作用も、フェリシアン化カリウムと臭化カリウムの混合液を使う場合と比べて弱くなり、余計な処理時間を要する。このため、特別な事情がない場合は、フェリシアン化カリウムと臭化カリウム液を使用して減力ないし漂白処理をし、その後通常の再定着処理をする方が合理的である。 ファーマーの減力液のように、再ハロゲン化タイプの酸化剤は、白黒の反転写真(リバーサル像)作成の中間段階における漂白剤としては使用されないが、カラー処理では、昔はネガ、リバーサル処理の両方で利用されていた。しかし、上記のような強い環境毒性により、70年代に代替物質へ切り替えられた。 ドットエッチングと呼ばれる過程で陰影の部分から銀を取り除く酸化剤として用いられる。カラー写真の作成においては、ドットの数を減らさずにドットの径を小さくさせ、色の補正を行うのに使われる。
※この「写真技法」の解説は、「フェリシアン化カリウム」の解説の一部です。
「写真技法」を含む「フェリシアン化カリウム」の記事については、「フェリシアン化カリウム」の概要を参照ください。
- 写真技法のページへのリンク