減力液
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 09:54 UTC 版)
これには硬調化減力法、均等減力法、平調化減力法、局部減力法があり、かつては局部減力法を除き多くの処方が公開されていた。しかし均等減力法や平調化減力法に使用される薬品の中には現在では一般に入手が困難か不可能な物があるため、現在ではこれらの方法を取るのが難しくなっている。また調合済みの既製減力液の一般販売も今は行われていない。 以下に挙げるのは、現在でも入手が可能な単薬を使用した処方である。 赤血塩 露出過度の原板の減力法でもっとも一般的な「ファーマー氏減力液」に使われる単薬。ファーマー氏減力液は硬調化減力法の一つで、陰影部のコントラストを高めながら減力する。その持てる作用は赤血塩の濃度が高いほど強くなる。 印画紙の減感には不向きであり、軽い印画カブリを矯正するに適する程度である。それゆえ寺岡徳二は「ほんのお嬢様仕事に類した減感操作にだけ適したもの」としている。 名称水ハイポ5 %液赤血塩5 %液ハイポ赤血塩ファーマー氏赤血塩カッティング減力液 100 ml 2〜10 ml 作用が急速であり原版を浸漬するや直ちに減力が始まる。赤血塩の量が多いとその作用は一層急速になるので注意が必要である。調合後急速に減力能力が失われていくので、必ず使用直前に調合し、少しでも能力が減退しかけたならば、速やかに新しく調合した液と交換する。減力斑を防ぐために原板は予め水濯ぎしておき、この液に浸漬後は適当と思われる寸前に引き上げて流水中に移し、充分に水洗の後乾燥させる。全ての工程において手早く行うことが肝要である。 ブリティッシュ・ジャーナル ファーマー氏赤血塩減力液 A液 1000 ml 125 g B液 1000 ml 100 g A液100 mlにB液5〜12 mlを加えて使用する。B液の量を多くすれば減力速度が大となり、且つ陰影部により強く作用する。混合液は数分でその効力を失うのでできる限り手早く行う必要があり、液色がレモン黄色から青緑色に変色したら最早使用できないので新たに調合した液と交換しなければならない。 R-4a(イーストマン・コダック ファーマー氏減力液) A液 500 ml 37.5 g B液 2000 ml 480 g 使用に際してはA液1部にB液4部を加え、さらに水を加えて総量32部とし、この液に浸漬して減力を行う。混合した液は極めて迅速にその効力を失うので、調合後直ちに使用しなければならない。 R-4b(イーストマン・コダック ファーマー氏両浴減力液) A液 7.5 g B液 200 g いずれも水を加えて1000 mlになる様に溶解すること。まずA液に原版を浸漬し、全面平均に作用するよう充分に震盪させる。震盪させる時間は減力の程度により1〜4分間位で液温は18〜21℃位に保つこと。次にB液に5分間浸漬したる後完全に水洗をする。1回の減力で不足の場合はこの工程を数回繰り返しても差し閊えない。単にカブリの除去が目的であれば、A液1部を水1部で稀釈して使用する。 イルフォード赤血塩減力液 25 ml 2.5 g 新しいハイポ20 %溶液にこの赤血塩溶液を液色が淡黄色になる程度まで加えて使用する。赤血塩溶液の量を多くすればその作用はより強大になるので注意が必要である。原版をこの液に浸漬し、減力作用の進行に充分に注意をはらい、適当に減力されたなら水洗を行い乾燥させる。
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