冒頭部分の放送でのカット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/03 08:54 UTC 版)
「S・O・S」の記事における「冒頭部分の放送でのカット」の解説
オリジナルのレコードでは、曲の冒頭部分にモールス符号による「SOS」(遭難信号)が効果音として使われていたため、放送局では(テレビ局・ラジオ局共に)冒頭部分をカットして放送していた。 遭難信号は、電波法に規定する「目的外通信」の一つ、遭難通信のみに用いられるもので、放送事項や周波数などの無線局免許の枠を超えて行うことのできる最優先事項である。 つまり、放送電波を用いて行うこともできるものであり、効果音といえどもSOSを放送することは「遭難の事実のない遭難信号の発信」となることから、放送できなかった。 他に問題となった楽曲の多くが、放送局の表現の自主規制、すなわち主観的判断によって一部カットや全面放送禁止とされたのに対し、オリジナルのレコードの冒頭カットは、電波法の規定に従って行われた稀な例である。 ビクター音楽産業でピンク・レディーのデビューから解散まですべての曲を担当したディレクター飯田久彦は、デビュー曲の「ペッパー警部」が苦戦していたため、話題作りのため、事前に電波監理局に問い合わせて「かまわないでしょう」との担当監理官の判断を得た上でこの効果音を入れたと述べている。 しかしこれは各電波監理局の担当監理官によって意見が分かれ、それでもどうしてもとなると郵政省本省、最終的に郵政大臣決裁となることから、厳密に電波法規定に従うものとして全国的に統一し、冒頭カットになった[要出典]。 要注意歌謡曲指定制度においては1988年に失効するまで不適当な個所を削除または改訂すれば放送可能なCランク指定だった。 1999年(平成11年)以降、船舶からの遭難信号の発信には、Global Maritime Distress and Safety System (GMDSS) により、衛星非常用位置指示無線標識装置(衛星EPIRB)などが使われることとなり、日本ではモールス符号による通信が業務用通信では通常使われないものとなったが、世界では2017年現在でも、業務用通信・アマチュア無線で使われている、日本でも非常通信では類似した「OSO」が使われるため、2017年現在でも冒頭部分をカットして放送することが殆どである。 演出として、意図的にモールス符号に似せた音やリズムを用いた楽曲が、ラジオ番組のテーマ曲に使用された例があるほか、一時期メガTONネットワーク(現:TXN)のニュースのテーマミュージックの冒頭では、同じメロディを使ったシンセサイザー音が使われていた。
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