具体的な用例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 13:56 UTC 版)
例えば、記号として縦棒である |(タリーマーク、tally mark)を使うと、6は |||||| 、9は ||||||||| 、十進法の12は |||||||||||| として表現される。この記数法を画線法という。指を折って数える方法も一進法であるといえる。一進法は、スポーツの試合で得点を数えるなど進行中の結果を集計するのに便利である。これは書き足していくだけの漸増的な記数法で、中間結果を消したり、捨てたりする必要がないからである。漢数字の 一・二・三 や、ローマ数字の I・II・III なども一進法的な由来であろうことが想像される。 | を使うのは、欧米では最も一般的な方法である。単位となるマークは、読みやすいように奇数(三つか五つ)ごとのグループに統められることが多い。偶数では、四つか六つごとのグループに統められる場合もある。これは、十進法など様々なN進法で「100,000,000」として表現される大きな数を読みやすくするために、スペースや区切り記号(コンマなど)を使うのに似ている。グループの中の最初、第三(三つ区切りの場合)、第五(五つ区切りの場合)のマークは、容易に識別できるように、他のマークに対して斜めに書かれたり、横線を入れたりすることがある。 5で区切る場合には、5を表すマークは five-bar gate とも呼ばれ、「縦線4つに横線1つを入れる」方法で表現する。3で区切る場合には、3は「H」の横線を両脇に出張らせる方法で表現する。偶数も同じで、4で区切る場合には「♯」や「口」、6で区切る場合には「縦線4つに横線2つを入れる」や「⊠」(口の中に×) などの方法で表現する。 奇数(三つか五つ)区切りの場合には、グループを二つ統めて円で囲んだり(3×2=6、5×2=10)、四つ統めて円で囲んだり(3×4=12、5×4=20)することもある。同様に、四つ区切りの場合には、三つか五つで統めて円で囲んだり(4×3=12、4×5=20)、六つ区切りの場合には六の冪数で統めて円で囲んだりする(62=36、63=216)こともある。 日本や中国では五画の漢字である正を書いて数える方法があるが、これも5つごとのグループで統める一進法である。 アルゼンチンやブラジルでは、 Truco (en) というゲームを遊ぶときなどに一進法が広く用いられる。 「H」が四つに達したら新しい記号を出す(十二進法)、「正」が四つに達したら新しい記号を出す(二十進法)といった標準的なN進法と比較して、大きな数の計算には一進法は不便なので使われない。また、固定的な文書で使われることもほとんどない。
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