公理と一般化されたコホモロジー論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/27 15:52 UTC 版)
「コホモロジー」の記事における「公理と一般化されたコホモロジー論」の解説
「コホモロジー論の一覧(英語版)」も参照 コホモロジー群を定義する様々な方法がある(例えば特異コホモロジー、Čech コホモロジー(英語版)、Alexander–Spanier コホモロジー(英語版)、あるいは層係数コホモロジー)。これらはいくつかの奇妙な空間に対しては異なる答えを与えるが、それがすべて一致するような空間の大きなクラスが存在する。これは公理的に最も容易に理解される。Eilenberg–Steenrod の公理(英語版)として知られている性質のリストがあり、それらの性質を共有する任意の2つの構成は少なくとも例えばすべての有限CW複体において一致する。 公理の1つはいわゆる次元公理である。P がただ1つの点であれば、すべての n ≠ 0 に対して Hn(P) = 0 であり、H0(P) = Z である。次元 0 に任意のアーベル群 A を許すことによって少し一般化することができるが、非零次元において群は自明であることをなお主張する。これらの公理を満たす群の系は本質的に1つしかないことが再びわかる。これは H ∗ ( X ; A ) {\displaystyle H_{*}(X;A)} と表記される。各群 Hk(X) がある rk ∈ Nに対して Zrk と同型であるようなよくあるケースにおいて、単に H k ( X ; A ) = A r k {\displaystyle H_{k}(X;A)=A^{r_{k}}} である。一般に、Hk(X) と H k ( X ; A ) {\displaystyle H_{k}(X;A)} の間の関係はほんの少しだけ複雑で、再び普遍係数定理によってコントロールされる。 さらに重要なことには、次元公理を完全に落とすことができる。すべての他の公理を満たす群を定義する異なる方法がたくさんある。例えば次のものがある。 安定ホモトピー群(英語版) π k S ( X ) {\displaystyle \pi _{k}^{S}(X)} コボルディズム群の様々な異なるバージョン。 M O ∗ ( X ) , M S O ∗ ( X ) , M U ∗ ( X ) {\displaystyle MO_{*}(X),MSO_{*}(X),MU_{*}(X)} など。このうち最後(complex cobordism として知られている)は特に重要である。Daniel Quillen による定理によって形式群(英語版)の理論とつながりがあるためである。 K-理論の様々な異なるバージョン。 K O ∗ ( X ) {\displaystyle KO_{*}(X)} (実周期的 K-理論)、 k O ∗ ( X ) {\displaystyle kO_{*}(X)} (実 connective)、 K U ∗ ( X ) {\displaystyle KU_{*}(X)} (複素周期的)、 k U ∗ ( X ) {\displaystyle kU_{*}(X)} (複素 connective)など。 Brown–Peterson ホモロジー(英語版)、Morava K-理論(英語版)、Morava E-理論、そして形式群の代数を使って定義される他の理論。 楕円ホモロジー(英語版)の様々なバージョン。 これらは一般化されたホモロジー論 (generalised homology theories) と呼ばれる。それらは普通のホモロジーよりもはるかに多くの情報をもっているが、計算するのは大変なことがしばしばある。それらの研究は(Brown の表現可能性定理(英語版)によって)安定ホモトピー(英語版)に強く結びついている。 コホモロジー論 E は E ∗ ( X ) {\displaystyle E^{*}(X)} が次数環であるときに乗法的 (multiplicative) という。
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