公布の方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/13 05:03 UTC 版)
官報に掲載して公布する方法は、1886年、内閣法制局が勅令として設置した公文式(明治19年勅令第1号)によって初めて規定された。この勅令は、法令は官報をもって布告され、各府県毎に定めた「官報到達日数」の7日後から、各地域において施行されるとした。その後の1907年、公文式に代わり公式令(明治40年勅令第6号)が制定され、これにも官報に掲載する方法によることが規定された。 ところが、第二次世界大戦後の1947年、内閣官制の廃止等に関する政令(昭和22年政令第4号)により公式令は廃止されたにもかかわらず、これに代わる法令は制定されなかった。その後も官報への法令の掲載が続けられたが、根拠法令がないため、どのような状態になれば法令が公布されたと見ることができるのか(官報以外の手段で法令の内容を知りうる状態になった場合も、公布があったと言えるか)が問題となった。 この点について判例は、公式令が廃止された後も法令の公布は官報をもって行われ(最大判昭和32年12月28日刑集11巻14号3461号)、公布の時期については、一般の希望者が法令の掲載された官報を閲覧・購読しようと思えばできた最初の時点(最大判昭和33年10月15日刑集12巻14号3313頁)としている。 なお、官報及び法令全書に関する内閣府令(昭和24年総理府・大蔵省令第1号)第1条は、官報には憲法改正・法律・政令などを掲載する旨規定している。しかし、これは公布の方法について定めた規定とは解されていない。 また、最高裁判所規則については、裁判所公文方式規則(昭和22年最高裁判所規則第1号)第2条で、会計検査院規則は、会計検査院規則の公布に関する規則(昭和22年5月3日会計検査院規則1号)第2条で、人事院規則及びその改廃については、国家公務員法(昭和22年法律第120号)第16条第2項で、それぞれ官報で公布する旨定めている。地方自治法16条4項は、条例の公布に関し必要な事項は条例で定めるべきことを規定しており、都道府県や市町村は「公告式条例」、「条例等の公布に関する条例」といった名称の条例で、条令の公布方式を定めている。都道府県はその公報に掲載することによって、市町村は所定の掲示場に掲示することによって、条例を公布すると定めている例が多いようである。
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