元号案の選定と考案者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 04:16 UTC 版)
政府は2019年(平成31年)4月1日の新元号発表に向けて、極秘裏に専門家への委嘱と元号案の選定を行っており、考案者については、考案者本人の希望および元号が特定の個人と関連づけられることは好ましくないという考えから、公表しない方針である。 2019年2月上旬ごろ、当時の内閣官房長官・菅義偉は元号担当の古谷一之らが事前に選定した約20の候補から絞り込みを開始した。2月下旬から3月上旬にかけて菅は当時の首相・安倍晋三に報告した。3月14日付で国文学や漢文学の専門家に正式委嘱した。3月27日、安倍首相、菅官房長官、事務担当の内閣官房副長官・杉田和博、古谷が協議し、原案を6つに固めたとみられる。 4月1日の「元号に関する懇談会」に示された6案は、以下の通りであると後に報道されている。 「元号に関する懇談会」で示された元号案元号案読み出典考案者とされる人物英弘 えいこう 古事記 宇野茂彦(中国哲学) 久化 きゅうか 易経 広至 こうし 日本書紀、続日本紀 万保 ばんぽう 詩経 万和 ばんな 史記、「五帝本紀」 石川忠久(中国文学) 令和 れいわ 万葉集 中西進(日本文学) 元号案を委嘱された人物としては、上記に挙げられた人物のほかに池田温(東洋史)、小倉芳彦(中国古代史、正式委嘱はなし) らが挙げられている。 安倍首相は古谷らに選定過程で「天皇をたたえる国書よりも万葉集の方がいい」との意向を伝えていた。原案となる6案が固まる以前、安倍は当初の協議では絞り込まれた候補の中から万葉集と古事記に由来する「天翔(てんしょう)」を評価し、一時期最有力案であったが、イニシャル表記が大正とかぶることに加え、「俗用されていない」という条件がクリアできない(同名の葬儀社などが存在した)ことから最終案から外された。そのため、3月下旬に追加の元号案が委嘱され、中西が「令和」を考案したと報じられている。安倍は当初は「英弘」を評価していたという が、「令和」が提出された後は、安倍、菅、杉田、古谷の協議で「『令和』がもっとも適している」との認識で一致したという。 発表直後から、マスコミにより「令和」の考案者は万葉集を専門とする中西であると報じられたが、中西本人は明確な回答を控えている。しかし、その後の雑誌インタビューの中で事実上自らが考案者であることを認めたとも報じられた。発表直後の時点では、中西は時事通信の取材に対し「元号は中西進という世俗の人間が決めるようなものではなく、天の声で決まるもの。考案者なんているはずがない」と発言している。
※この「元号案の選定と考案者」の解説は、「令和」の解説の一部です。
「元号案の選定と考案者」を含む「令和」の記事については、「令和」の概要を参照ください。
- 元号案の選定と考案者のページへのリンク