偵察上陸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 17:37 UTC 版)
1982年4月21日早朝、サウスジョージア島西側約50kmの地点から駆逐艦「アントリム」よりウェセックスヘリコプター1機が発進し、サウスジョージア島、フォーチュン氷河を偵察。アルゼンチン軍勢力が同区域に存在しないことを確認すると一旦「アントリム」に帰還。同艦に同乗していた特殊部隊SAS隊員を積載。補給艦「タイドスプリング」より同じくSAS隊員を積載して飛び立ったウェセックスヘリコプター2機と合流して偵察上陸を行おうとした。しかし、急激な天候の悪化によって上陸が困難になり、断念。同日正午に天候が回復したのを機に再度上陸作戦を行い、今度はSAS隊員らの上陸を成功させた。 上陸を果たしたSAS隊員らであったが再び天候が悪化、最大瞬間風速35mを記録するほどの猛吹雪に見舞われてSAS部隊は装備を吹き飛ばされるなどして作戦行動が困難になり、撤退を決めた。 「アントリム」と「タイドスプリング」よりウェセックス計3機が隊員移送の為飛び立つが悪天候のため接近すらできず、一度撤退。天候がある程度回復した段階で再度発進し、今度は着陸に成功した。ところが再び天候が悪化。最初に隊員を収容して離陸した補給艦「タイドスプリング」所属のウェセックスヘリ1機が吹雪によってホワイトアウトを起こし墜落。死者や重症者は出なかったため、墜落した機の乗員は即座に残った2機に搭乗したがもう一機の「タイドスプリング」所属のウェセックスヘリも視界不良から離陸後すぐに稜線に接触して墜落(「タイドスプリング」所属のウェセックスは輸送型でレーダーを搭載していなかったことが墜落の最大の原因とされる。「アントリム」所属のウェセックスは対潜型でレーダーを搭載していた為、視界不良でもある程度対処ができた)。死者、重傷者こそ出さなかったが残った「アントリム」所属のウェセックスは既に定員オーバーだったため、止むを得ずその場に留まることになった。 残ったウェセックスは直ぐに「アントリム」に帰還後、給油を済ませて再度発進。墜落現場に向かい、残されていたSAS隊員らとヘリパイロットの救出を行おうとしたが天候不良で二度も引き返し、三度目の挑戦でようやく救助に成功した。 4月22日夜にはサウスジョージア島のストロームネス港へSASによる動力機付きゴムボート5艇を使用した偵察上陸作戦が再度行われたが、内2艇がエンジンの故障から遭難して行方不明になってしまう。この行方不明になったボートは「アントリム」所属のウェセックスが翌早朝に1時間に渡って捜索活動を行った結果発見され、全員救助された。 この「アントリム」所属のウェセックスパイロットである海軍少佐はこの救助活動の功績から紛争後に殊勲十字章を授与された。 このようなイギリス軍特殊部隊の上陸作戦は失敗が続いたが、悪天候によってアルゼンチン軍には察知されずに終わっている。
※この「偵察上陸」の解説は、「パラケット作戦」の解説の一部です。
「偵察上陸」を含む「パラケット作戦」の記事については、「パラケット作戦」の概要を参照ください。
- 偵察上陸のページへのリンク