修道会の役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/01 01:45 UTC 版)
カトリック改革において、新修道会の果たした大きな役割を無視することは出来ない。それはカプチン会、ウルスラ会、テアティノ会であり、そしてなんといってもイエズス会である。彼らは小教区を強化し、民衆信心を発達させ、教会にはびこった悪習を断ち切り、カトリック改革の原動力となった。 特に、バスク人イグナチオ・デ・ロヨラによって創設されたイエズス会は、トリエント公会議の改革精神を体現するものとなった。イエズス会は1534年に結成され、パウルス3世の認可を受けた。騎士であったロヨラはイエズス会を「戦闘的な組織」と意味づけ、改革の情熱に燃えるグループとした。会員は入会時に十分に審議され、厳しい教育を受け、鉄の規律を誇り、ルネサンス教会がどっぷり浸っていた世俗性とは無縁のものであった。会員たちはロヨラの著作『霊操』を手に世界に派遣され、修道者として従順、清貧、貞潔という三つの修道誓願を忠実に守ることで、改革された教会の姿を人々に示すことになった。説教者として、宮廷の聴罪司祭として、人文主義者の理想を体現する教育者として、イエズス会員は各地で活躍し、ポーランド、ボヘミア、ハンガリー、南ドイツ、フランスでプロテスタントの奔流をくいとめることに貢献した。イエズス会員はアメリカやアジアにおけるカトリックの拡大にも貢献し、プロテスタント教会やカルヴァン主義の拡大に先手を打つものとなった。 カトリック改革において、優れた教皇たちが率先して改革を主導し大きな成果を挙げたことが、教皇の地位を引き上げ、中世以来活発になっていた公会議主義への流れを退潮させた。教皇の意思を最重要とするイエズス会の活躍もまた、教皇の地位向上に貢献し、カトリック改革を活性化させた。
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