低率初期生産段階での事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 09:39 UTC 版)
「V-22の事故」の記事における「低率初期生産段階での事故」の解説
2000年4月8日 14号機が夜間侵攻での兵員輸送を想定した作戦試験時に墜落事故を起こし、乗員4名と米海兵隊員15名の計19名全員が死亡した。 事故機は、他のV-22に後続飛行しながらナセルを立てて着陸進入状態にあり、前方機が減速したので衝突を回避するために急減速し急降下を同時に行った。操縦不能になる直前には、対気速度30kt以下で毎分約2,000ft(610m)で降下していた。規定の降下速度である毎分800ft(244m)の2.5倍の急激な降下であったため、自らが生み出したVRS(vortex ring state、ボルテックスリングステート、セットリングウィズパワー、渦輪状態)と呼ばれる下降気流によって揚力を失ったための墜落事故だとされた。事故の再発防止策として、危険な降下率となった場合にはコックピットに「Sink rate」と音声で注意しながら警告灯を点灯する装置が加えられた。 その後も試験は続けられ、運用評価を2000年8月に完了した。 2000年12月11日 海兵隊訓練部隊VMMT-204部隊所属の18号機(MV-22B)が、夜間飛行訓練中に森林地帯に墜落し、搭乗していた海兵隊員4名全員が死亡した。事故を受け全機が飛行停止になった。 事故原因は、機体の機構的な問題とソフトウェアの問題、そして、パイロットが不適切な操作をしたためという、複合的な事象が重なって起こったものとされた。まず左ナセルの油圧配管が振動により配線と擦れあい、配管より高圧作動油が噴出した。設計通り油圧システムの安全装置が自動的に作動してシャットオフ・バルブを閉鎖したため、3つある油圧系統の1つを他より切り離して安全に飛行が継続できるようになったが、主飛行制御システム(PFCS)は油圧系統の異常を知らせる警告灯を点灯させた。この時、操縦士は着陸に備えてナセルを回転させている途中であり、主飛行制御システムの警告灯の点灯を知って、手順に従ってこれを停止するリセットボタンを押したが、PFCSのソフトウェアはこの時点で無用な警告を繰り返すという欠陥があり、警告灯は繰り返し点灯して、パイロットはその警告灯に気をとられて操縦がおろそかになり、誤って地上に墜落させた。この事故原因が明らかにされた後、油圧システムとPFCSの改良が施された。 2002年5月に飛行停止は解除された。
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