代数曲線のリーマン・ロッホの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 07:15 UTC 版)
「リーマン・ロッホの定理」の記事における「代数曲線のリーマン・ロッホの定理」の解説
リーマン面上の因子のリーマン・ロッホ定理の上の定式化の対象はすべて、代数幾何学に類似するものがある。リーマン面の類似物は、体 k 上の非特異な代数曲線 C である。用語の差異(曲線 vs. 曲面)は、実多様体としてはリーマン面の次元は 2 であるが、複素多様体である点である。リーマン面がコンパクトであることは、代数曲線が完備(英語版)であるという条件と並行して議論することができ、条件は射影的であることに同値である。一般的な体 k 上には、特異(コ)ホモロジーの考え方はないので、いわゆる、幾何種数が次のように定義される。 g ( C ) := dim k Γ ( C , Ω C 1 ) {\displaystyle g(C):=\dim _{k}\Gamma (C,\Omega _{C}^{1})} つまり、この式の値は、大域的に定義された(代数的)1-形式の空間の次元である(ケーラー微分を参照)。結局、リーマン面の有理型関数は局所的には正則関数の分数として表現される。したがって、それらは代数多様体の射の局所的な分数である有理関数に置き換えることができる。上と同じように、曲線上の有理関数 f で ( f ) + D ≥ 0 {\displaystyle (f)+D\geq 0} となるもの全体のなすベクトル空間の次元を l ( D ) {\displaystyle l(D)} とかくと、上とまったく同じ公式が成り立つ。 l ( D ) − l ( K − D ) = deg ( D ) + 1 − g . {\displaystyle l(D)-l(K-D)=\deg(D)+1-g.} deg D ≥ 2g -1 のときに l ( D ) = deg ( D ) + 1 − g {\displaystyle l(D)=\deg(D)+1-g} が成り立つことも上と同様である。ここに C は代数的閉体 k 上の射影的な非特異代数曲線である。事実、同じ公式が任意の体の上の射影曲線に対して成立する。ただし、因子の次数を、基礎体の可能な拡張と因子をサポートする点の剰余体からくる重複度を考えに入れる。 結局、アルティン環の上の固有曲線に対して、因子に付随する直線束のオイラー標数は、(近似的に定義された)因子の次数と構造層 O {\displaystyle {\mathcal {O}}} のオイラー標数により与えられる。 定理の中の滑らかさの前提は緩めることができて、代数的閉体の上の(射影的な)曲線に対し、それらのすべての局所環はゴレンシュタイン環であり、上と同じステートメントが成立し、上記で定義した幾何種数が算術種数より ga 置き換えることができる。算術種数は次のように定義され、証明された。 g a := dim k H 1 ( C , O C ) . {\displaystyle g_{a}:=\dim _{k}H^{1}(C,{\mathcal {O}}_{C}).} (滑らかな曲線は、幾何種数と算術種数が一致する)この定理は一般の特異点を持つ曲線(や高次元の多様体)に対しても成立する。
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