代数曲線としての性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/04/30 07:26 UTC 版)
射影直線は代数曲線の基本的な例である。代数幾何学の観点からは、P1(K) は種数 0 の非特異曲線になる。K が代数閉体ならば、そのような曲線はK-有理同値(英語版)の違いを除いて一意である。一般に、種数 0 の非特異曲線は K 上の円錐曲線 C に K-有理同値であり、それ自身が射影直線と双有理同値となるための必要十分条件は C が K 上定義された点 P を持つことである。幾何学的にはそのような点 P を明示的な双有理同値を作るための原点として利用できる。 射影直線の函数体は、一つの不定元 T に関する K 上の有理函数体 K(T) である。K(T) の K-自己同型群は、上でも述べた PGL2(K) に他ならない。 K 上の代数多様体 V の任意の函数体 K(V) は(一点を除いて)K(T) に同型な部分体を含む。双有理幾何学の観点からは、これは V から P1(K) への定数でない有理写像(英語版)が存在することを意味する。その像は P1(K) の有限個の点のみが落ちており、また典型点 P の逆像は次元 dim V − 1 となる。これは代数幾何学における次元に関する帰納的方法の出発点である。有理写像は複素解析における正則函数に対応する役割を果たし、そして実際コンパクトリーマン面(英語版)の場合には両者の概念は一致する。 いま V を一次元とすれば、P1(K) の「上に」存在する典型代数曲線 C の描像が得られる。C は非特異と仮定して(これは K(C) から始めて一般性を失わない)、そのような有理写像 C → P1(K) が実は至るところ定義されることが証明できる(特異点が存在する場合にはこの限りでない。実際、例えば曲線が自己交叉する二重点を有理写像で写した結果は不定となりうる)。このことが描写する主要な幾何学的特性は分岐である。 例えば超楕円曲線のような、多くの直線が射影直線の分岐被覆として抽象的に表すことができる。リーマン–フルヴィッツの公式によれば、種数は分岐の種類のみに依存する。 有理曲線とは射影直線と双有理同値な曲線を言い(有理多様体を参照)、その種数は 0 である。射影空間 Pn 内の有理正規曲線(英語版) は、真の部分線型空間内に含まれることのない有理曲線をいう。その射影同値の違いを除いて唯一知られた例は、斉次座標に関して [1 : t : t2 : … : tn] と媒介変数を用いて与えられる。最初の興味深い例は三次撓線(英語版)の項を見よ。
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