人為的な雑種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 15:08 UTC 版)
家畜・作物では、混血(交雑)は様々な優れた形質を家畜や作物に与えようとして(品種改良)、実験的交配が繰り返されてきた。この中には生物学的な問題を無視して、異なる科や属に位置する種族どうしを掛け合わせようとした歴史もある。 掛け合せによって生まれる動(植)物の第一世代を遺伝学でF1(エフワン)世代という。さらにその中で両親の(人間にとって)好ましい形質を受継いでいるものをハイブリッドと呼ぶ。しかし一世代限りで次世代が生まれない(交雑種同士では交配できない)というものも見られる。 一般に野外で雑種が少ないのは、生殖的隔離が成立している生物集団同士がまとまって別種、あるいは亜種を形成し生息しているからである。人為的に交配させた場合、この限りではないが、実際に野生種間で雑種を作ろうとしてもうまくいかない場合が多い。これは、生殖的隔離が生理的な面で行われる場合があることと共に、そもそも遺伝子が異なっている以上、その発現等において不具合が生じやすいためと推測される。 種間では交配が行われにくく、交配させても子供ができることは少なく、できたとしても、その子には生殖能力がない場合が多い。雑種に生殖能力があるかどうかは、その両親が同種であるかどうかの判断基準の一つとなる。雄ロバと雌ウマの雑種であるラバは繁殖能力がないが、洋ランのカトレヤに見られるように、ラン科では種間どころか属間でも雑種ができる例が多々ある。ほ乳類の雑種では、往々に両親の名を前後つなぎ合わせた名を与えられる。ヒョウ属の雑種(タイゴン、ライガー等)の一覧についてはヒョウ属を参照。 近年ではバイオテクノロジーの発達もあって、遺伝子レベルで人為的に操作して結合させたキメラも、現実的な話になってきている。 ただ、フランケンシュタイン・コンプレックスに見られるようなテクノロジーに対する警戒論も強く、むやみな他種族間の交配を警戒する声はバイオテクノロジー発達以前からある。
※この「人為的な雑種」の解説は、「雑種」の解説の一部です。
「人為的な雑種」を含む「雑種」の記事については、「雑種」の概要を参照ください。
- 人為的な雑種のページへのリンク