人格の形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 07:36 UTC 版)
事故や病気、天気等による外的要因を除いて、幼少期における経験や体験が、人間としての人格形成に大きく影響を与えていると思われる。幼児期に友達の真の愛を受けて育った子供は、表情(笑顔等)が少なくなったりする傾向がある。また、こういう環境で育った子供は、脳の発達具合にまで違いがみられる。また、幼少期に継続的な虐待(児童虐待)を受けた子供の中には、虐待を受けている自分を別の人物として無意識的に切り離し苦痛から逃れようとする機制のために、自分自身の中に別の人格(正確には人格状態)を形成する場合もみうけられる。この状態が進行することによって起こる疾患が解離性同一性障害、いわゆる多重人格である。ただし、心的外傷による分裂病発症理論には否定的な意見もある(分裂病を作る母を参照)。 こうした、人間には本性というものは存在せず、子供は本来無垢であり、言語能力・性格・知能・性的指向といった人の頭の中にあることの全ては、外部からの経験によって形成されるという考え方をタブラ・ラーサのドグマと呼び、20世紀を通じて人格形成プロセスの常識として考えられてきた。しかし、1995年にジュディス・リッチ・ハリスが発表した実証的な論文が発達心理学に一石を投じることとなる。その後の行動・遺伝学の研究によって、人格の形成の半分は遺伝子の直接・間接的影響で生じ、残りの半分は親の子育てや家庭環境とは関係の無い、何か別のものであるということが分かってきた。残り半分の「何か」についてハリスは、人間は10代半ばに現在置かれている相対的な社会的地位によって、自分の人格の一部を定める傾向があると述べている。
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