事務官の肩書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 08:55 UTC 版)
現制度においては、昇進にともなって防衛部員、防衛書記官と官名が変わる防衛省や、試験によって裁判所書記官への選抜・転換が行われる裁判所を例外として、多くの行政機関では、採用試験に合格して初めて任官してから退職するまでの間、事務次官などの役職名と官名が一致する特別の官職に昇任するか、別の機関に出向しない限り、事務に従事するほとんどの職員の官名は「事務官」から変わらない。 従って、各府省では、上は局長級の者から下は採用されたばかりの係員に至るまで、事務を担当する一般職の職員のほとんどすべてが官名を事務官とする。また、事務系の区分で採用され、事務を行う職員であれば一律に「事務官」と称されるのが通例であるので、刑務官や国税専門官のような専門性の強い職種であっても、官名では事務官(法務事務官・財務事務官)を用いる例が多い(例外は入管法を設置根拠とする入国審査官、労基法を設置根拠とする労働基準監督官、鉱山保安法を設置根拠とする鉱務監督官など)。 通例、課長・係長等の役職に就いているものは、肩書きとして役職名を用いるため、官職名である事務官は辞令など限られた場合でしか用いられない。そのため、事務官を肩書きとして名乗るのは、役職を持たない主任・係長級未満の職員が中心となるので、単に「事務官」というと「平社員」といったニュアンスを帯びることがある。 なお、事務官を役職名として用いる例もわずかであるが存在しており、外務省では他の省庁では「総括課長補佐」と呼ぶような課の事務の総括を担当する課長補佐級ポストを、首席事務官と呼称している。 今日の国家公務員の給与制度では、事務官・技官などの一般行政職と、他の官職の間では給与体系が異なることがある。このため、人事異動や省庁を越えた出向を円滑に行うために、本官とは別に事務官を兼ねる「兼官」が行われることがある。例えば、在外公館に勤務する防衛駐在官は、自衛官を本官とし、外務事務官に兼ねて任命されていたり、法務省本省の内部部局で行政の実務を経験する検察官の一部は、検事を本官とし、法務事務官に兼ねて任命されている。もっとも、法務省設置法附則第4項では当分の間、特に必要があるときは、法務省の職員(検察庁の職員を除く。)のうち、133人は、検事をもってこれに充てることができるという規定があり、上述の検事兼法務事務官のほかこの「充て検事」もあって複雑である。
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