乱取とは? わかりやすく解説

乱取り

(乱取 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/09 01:05 UTC 版)

乱取り(らんどり)は、日本の柔術柔道、の稽古形態・方法の一つ。合気道では一部の流派で行われる。自由に技を掛け合う稽古方法。乱取乱捕乱れ稽古地稽古ともいう。地稽古剣術剣道槍術でも行なわれる。

経緯と目的

稽古形態としては比較的新しく、歴史(社会環境)的には「昔日、命のやり取りをした真剣勝負」⇒「天下泰平し流儀が勃興した頃に確立した形稽古」⇒「形稽古とねこがき、の使用による乱取り稽古」⇒「再び天下が風雲急を告げた幕末の乱取り」となった成立経緯がある。

元々の目的は、形稽古の補完的な役目でに拠って学んだ自己の技術の応用性を確認したり、硬直化した動きを取り除くことで円滑な体裁きを養う事がメインである。これについて嘉納治五郎は「乱捕と形は、作文と文法の関係」[1]と説明した。

現在、柔道では競技とほぼ同一である。

補足

乱取りで「単なる勝敗の優越のみに拘る」事も多く、本来の趣旨・目的から逸脱してしまっているところや、門外漢にとって流儀の骨子(エッセンス)である形稽古を逆に異端視しているところもある。また乱取りには「負ける覚悟」が必要と力説していた。

その他

以前は、攻守を決めて行う稽古を「乱捕り(乱取り)稽古」と称したが、現在は「運用法」と呼んでいる(少林寺拳法#立合評価法を参照)。
  • 合気道
合気道で乱捕りを行うところはごくわずかである。合気道協会では特徴的な乱捕りを行っている。それは、一方が素手で、もう片方が短刀(模擬刀)を持った状態で行われる。短刀側は、その短刀による攻撃を中心に、いくつかの行動しか認められない。また、短刀による攻撃にも制約が多く、しっかりと踏み込み腕を伸ばした状態で突く行為のみが認められ、小刻みな突きや切り付ける動作は認められない(例え当たってもポイントとならない)。

  1. ^ 嘉納治五郎「柔道家としての嘉納治五郎(12)」『作興』第6巻第12号、1927年、16頁“乱捕と形は、作文と文法の関係” 

関連項目


乱取

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 07:41 UTC 版)

久冨鉄太郎」の記事における「乱取」の解説

諸国廻り流派訪ねて当時乱取で有名だった楊心流戸塚彦助天神真楊流磯又右衛門から教え受けている。 渋川流27年ほど学んだ後、安政元年1854年)から各流の各師範訪ねて乱捕教え受けた江戸時代の乱取は各流派で名称が異なっており乱取、勝負合、最鍛意、アガキ試合、組、合のこり、捕合ひ等々多数の名称が用いられていた。 渋川伴五郎からは「ヤタラ試るな、もし達て乱取を乞われたらモー死ぬといふ覚悟をしてから試れ」と言われていた。 朽木藩柔術師範務めていた起倒流直村左衛門訪ねた際、教えることは渋川流と違うが乱捕試合大同小異であった。 ここで説諭親切に受けた血気盛んだった久富徹せず、さらに各流を廻り沼津藩柔術師範楊心流戸塚彦助訪ねた。この戸塚彦助教えるのは投手投げ技)で、江戸時代でも明治時代でも乱捕では戸塚の上の人はないと久富評していた。ここで戸塚彦助から「徹頭徹尾呼吸盡るまで講修すれば自然名人上手になれる。」という教え受けた戸塚彦介指導方針は、「流派構わない下地出来ているから着色しこれまで習ってきたことを変えてならない。」というものであった。この時入門し戸塚彦助から楊心流学んでおり、戸塚一門随身と言われていた。 さらに江戸天神真楊流開祖磯又右衛門訪ねた。この磯又右衛門からは「衣紋を〆め、手足の逆を取り、体を固め呼吸盡る所まで試って始めて試合勝負分かつ。」と教わった安政6年4月19日1859年)に久留米藩良移心頭流下坂五郎兵衛門人として天神真楊流門人二人試合をしており、山田音之丞に負けているが八木貞之助勝利している。また、安政6年4月19日には他の門人天神真楊流敗れる中、持田千代吉とは息切れ引き分け山本次郎とも息切れ引き分けとなっている。 長谷五郎天神真楊流聞き書きで、久冨が警視庁在職中天神真楊流磯道場に試合行った話が記されている。久冨が磯道場に試合行ったところ、14,5人ほどの門人見回した磯が市川大八天神真楊流免許)を指名した市川大八五尺二三寸の平凡な男だったが、当時の久冨は5尺8寸体重26であった。 礼をして立ち上がる市川押され道場三角押し付けられ咽喉締められた。壁の三角であったため足の自由が利かず両手突き放そうとして突っ張るほど咽喉締まり気が遠くなって活を入れられた。しばらく呆然としたが、もう一本お願いしますと言い今度押されることを用心して掛かった。礼をして立ち上がるや、睾丸突かれ痛みハッとして腰が曲がったところを立ったまま咽喉締められ振って突いて放れないので市川抱き上げ下に強く打倒したが、その時既に気が遠くなり絞め落とされ活を入れられた。すぐに立ち上がれ道場座って考えたが、あまりの残念さに「もう一本お願いします。」と言ったところ磯が笑って「もうおやめになったらいいでしょう。」と言われ退出した。 久冨は天神真楊流の締には驚いた本当に凄いものであったと後に長谷話したとされる

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「乱取」を含む「久冨鉄太郎」の記事については、「久冨鉄太郎」の概要を参照ください。

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