世俗的政治問題に対する姿勢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 18:25 UTC 版)
「日本ハリストス正教会」の記事における「世俗的政治問題に対する姿勢」の解説
近年、日本のキリスト教諸教団が「靖国問題」や「憲法問題」など政治運動に熱心に取り組んでいるなか、信徒個人としては大井憲太郎、昇曙夢など政治に携わった者がいたものの、日本ハリストス正教会は他の諸教団とは一線を画して、正教会という団体としては政治運動と一切関わりを持っていない。これについては「政治的中立性を保っている」という評価から、「体制従属的である」という批判までさまざまである。 因みに「体制従属的である」という批判の声が挙がる一因として、天皇と為政者のための祈りがあるが、この祈りは新約聖書の中のテモテへの手紙一第2章の「願いと祈りと執り成しと感謝をすべての人々のためにささげなさい。王たちやすべての高官のためにもささげなさい」という記述に基づくものとされる。 諸外国の正教会では君主や為政者への祈りを捧げることは珍しくない。イギリスの正教会では女王のために祈りを捧げ、またアメリカ合衆国では大統領と全軍のために祈りを捧げることで、君主や為政者、国軍が暴走をせず国民の平和と安寧秩序のためになるようにとの願いを常に込めているとされる。日本ハリストス正教会による天皇と為政者への祈りも同様の意義をもつ。また、現日本国憲法下において天皇の地位が日本国民の統合の象徴であることから、天皇への祈りは即ち日本国民全体への聖なる祈りであるとの意味合いも込められているとされる。ローマ帝国時代からオスマン帝国、ソビエト連邦において迫害を受けていた時期にも、「敵を愛し、迫害する者のために祈れ」(マタイによる福音書5:44)の実践として異教徒である為政者のための祈りを正教会は行ってきたのであり、この観点から「敵のための祈り」の実践であるとの見解もある。 なお、モスクワ総主教庁が管轄している、ロシア人・ウクライナ人などの信徒が大多数である、本駒込のロシア正教会モスクワ総主教庁駐日ポドヴォリエでも、連祷などでロシアの国のための祈りのみならず、日本の天皇のための祈りが行われている。「その国の象徴・元首のために祈る」のは民族主義的な色彩や「体制迎合」では説明できない伝統であることが示されている。 この他に、海外の軍隊(主に東欧、また米軍にも)では正教の従軍司祭も存在する。 「ビザンティン・ハーモニー」も参照
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