不正発覚と処分
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東京電力は2006年(平成18年)12月20日および2007年(平成19年)1月24日の報告(プレスリリース)の中で、八汐ダム・蛇尾川ダムにおける不正行為を明らかにした。 東京電力は、まず八汐ダム湖の堆砂量データ改竄について明らかにした。河川からの自然流入がないことを理由に、本来必須であるはずの堆砂量計測を実施せず、値を「0」として報告していたのである。これは同じく栃木県内にある東京電力の揚水発電所・今市発電所用上部ダムである栗山ダムにおいて行われていた不適切な扱いを踏襲してしまったものであった。2002年(平成14年)に発覚した原子力不祥事がこれを見直す転機となり、実際に計測を行ったところ約15万立方メートルの堆砂が認められた。その後の計測で堆砂量が確実に増加傾向にあることを把握していたが、報告値は依然として「0」のままであった。 さらに八汐ダムの抱える漏水の問題を背景とした、ダム水位・流入量・流出量データの改竄が明らかになった。そもそも八汐ダム完成により湖底となる部分に水が浸透しやすい箇所があることは建設前から知られており、当時は対策工事により漏水量は1日あたり5,000立方メートル程度に止まると思われていた。しかし、実際に湛水したところ想定量の15倍に相当する、1日あたり7万6,000立方メートルもの漏水を確認。漏水対策工事は発電所の運転開始後も続けられ、徐々に漏水量の減少が見られるものの決定打には至っていない。漏水による貯水量の減少分は河川からの不正取水というかたちで補われることになり、つじつま合わせのための各種データ改竄が幹部級社員の了承のもと行われた。不正取水量合計はダムの有効貯水容量の実に10倍に達するという。 2007年4月20日、国土交通省は塩原発電所に許可していた河川法第23条が定めるところの「流水の占用の許可」を取り消すという、前代未聞の厳しい処分を下す方針を示した。塩原発電所の運転を再開するためには、八汐ダムに抜本的な漏水対策を施し、使用許可を求める申請を再度提出しなければならない。東京電力はすでに2007年1月29日より塩原発電所の運用を停止し、漏水対策に向け調査を開始している。 なお、八汐ダムの安全性自体については立ち入り検査により問題のないことが確認されている。
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