ワクチン・パスポートとは? わかりやすく解説

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接種証明書

(ワクチン・パスポート から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/17 07:31 UTC 版)

接種証明書(せっしゅしょうめいしょ)とは、特定の感染症に対する抗体を保持している事を証明する証書[1]免疫パスポートワクチンパスポートとも言われる。

後述する陰性証明書とともに、主に他国の渡航に際して必要となる。

概要

接種証明書に該当する証書は古くからあり、18世紀には既に存在していたとの記録が存在する。国際的な枠組みでは、国際保健規則英語版に基づくイエローカードが用いられてきた。抗体を保持することで感染症には罹患しない事を証明できるため、接種証明書の所持者は自由移動することが可能とされる[1]。特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)世界的流行以降、注目され出した[2]

課題

麻疹のように一度罹患すれば抗体が維持される感染症とは異なり抗体の効力が消えてしまう種類の感染症に対しては、適切な有効期限を設定しないと効果がないばかりか悪影響がある。抗体検査の精度も完全ではなく、偽陽性や偽陰性の判定が出る可能性を否定できないとされる[1][3]。また必要とされる検査件数は実現不可能な数字であり、社会の分断を招くとの指摘もある[3]

2021年2月19日に英国王立学会が発表した12の課題の中に国際規格化の必要性、プライバシー保護、偽物防止が謳われている。この課題を解決するため、ジュネーブに本拠地を置く、ITの国際規格化団体のEcmaインターナショナルが、3月に国際規格化を発表。既に国際規格(ISO/IEC 24643:2020)になっているECMA-417を2021年8月に改定する第3版を公表し、ワクチンパスポートへの応用例を附属書Bに追記した[4]。この規格に則れば、偽造証明書をリアルタイムで発見でき、個人情報を保護できるとされているが、システムの具体化、運用、管理などは本規格の枠外である[5]

新型コロナウイルス感染症陰性証明書

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以降、ほぼすべての国で国外への渡航(他国からの入国)が事実上不可能となり、一部例外的な渡航に当たっては、入国時にPCR検査の陰性証明書が求められるようになっている。

日本への入国については、2021年1月8日より[6]現地出国前72時間以内のPCR検査証明書の提示が必要とされていたが[7]、2022年9月7日よりワクチン接種証明書を保持している場合にはPCR検査証明書が不要になり[8]、2023年4月29日よりすべての入国者についてPCR検査証明書の提示が撤廃された[9]

新型コロナワクチン接種証明書

2023年1月18日時点でイタリアオーストリアトルコブルガリアポーランド韓国など118の国・地域で日本の市区町村が発行した海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能だった[10]

日本では、7月26日から各市区町村を窓口に交付申請の受付が開始された[11]

日本航空は2021年10月から米Daon社が提供しアメリカン航空ブリティッシュ・エアウェイズイベリア航空、ならびにエアリンガスがすでに使用しているデジタル証明書アプリ"VeriFLY"運用開始[12]。これに先立ち21年4月にスイスの非営利組織であるコモンズ・プロジェクト(The Commons Project)が世界経済フォーラムの連携で推進している。医療機関から発行される検査結果が受入国の入国基準を満たしているかをコモンパスが検証し、検査結果をデジタル証明「コモンパス」と国際航空運送協会 (IATA)が推進し世界23社の航空会社が実用化に向けた取り組みに参加している「IATAトラベルパス」も実証試験を営業便で実施している[13]

脚注

  1. ^ a b c 「免疫パスポート」の可能性 経済活性化なるか”. 日経バイオテク (2020年5月26日). 2020年9月8日閲覧。
  2. ^ 「ワクチンパスポート」7月下旬 発行開始の見通し 官房長官”. NHK (2021年7月1日). 2021年7月21日閲覧。
  3. ^ a b 免疫パスポートを導入すべきでない10の理由”. Nature Japan (2020年5月21日). 2020年9月8日閲覧。
  4. ^ Ecma International approves new edition of ECMA-417 Standard” (2021年8月9日). 2021年8月23日閲覧。
  5. ^ ECMA-417 Architecture for a distributed real-time access system 3rd edition” (PDF). p. 15 (2021年8月). 2021年8月23日閲覧。
  6. ^ 水際対策強化に係る新たな措置(5)”. 厚生労働省 (2021年1月8日). 2025年1月17日閲覧。
  7. ^ 検査証明書の提示について”. 厚生労働省. 2021年7月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月28日閲覧。
  8. ^ 水際対策強化に係る新たな措置(31)”. 厚生労働省 (2022年8月25日). 2025年1月17日閲覧。
  9. ^ 今後の水際措置について”. 厚生労働省 (2023年4月28日). 2025年1月17日閲覧。
  10. ^ 海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧(1月18日現在)”. 外務省海外安全ホームページ (2023年1月18日). 2023年4月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年1月17日閲覧。
  11. ^ 海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書について”. 厚生労働省. 2021年7月28日閲覧。
  12. ^ 本邦で初めて、デジタル証明書アプリ「VeriFLY」を活用した ワクチン接種証明書の登録が可能となりました
  13. ^ 安全・安心でスムーズな渡航に向け、3つのデジタル証明書アプリ 「コモンパス」、「VeriFLY」、「IATAトラベルパス」との取り組みを開始

文献

関連項目

外部リンク


ワクチン・パスポート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 03:42 UTC 版)

COVID-19ワクチン」の記事における「ワクチン・パスポート」の解説

COVID-19ワクチン接種証明書(ワクチン・パスポート)を発行する国もあり、2021年2月世界で最も接種進んでいるイスラエルが、翌3月には中国開始 し各国もこれに続くとされている。同年4月1日時点ヨーロッパ一部諸国アイスランドエストニアキプロスジョージアポーランドルーマニア)、中南米グアテマラベリーズエクアドルインド洋島国セイシェルといった国々が、ワクチン・パスポート保持者の旅行入国解禁開始している。但し、国によっては接種したワクチン製薬会社によって有効・無効違いがある。 また、ワクチン・パスポートを得るために渡航するワクチンツーリズム始まっている。 日本では2021年7月26日から、海外渡航者を対象に、ワクチン接種事実公的に証明する証明書交付申請受け付けを各市区町村開始する。ただし、日本への帰国時の検疫措置緩和はない。

※この「ワクチン・パスポート」の解説は、「COVID-19ワクチン」の解説の一部です。
「ワクチン・パスポート」を含む「COVID-19ワクチン」の記事については、「COVID-19ワクチン」の概要を参照ください。

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