ローレンツ群の部分群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 07:21 UTC 版)
「ローレンツ群」の記事における「ローレンツ群の部分群」の解説
ローレンツ群のリー代数の部分代数はを共役による違いを除いて列挙することができる。そこから、制限ローレンツ群の閉じた部分群を共役の違いを除いて列挙することができる。(詳細については(Hall 2004)を参照のこと。) その結果は上の表に挙げた生成系により容易に表現できる。 その一次元部分代数はもちろんローレンツ群の四つの共役類に次のように対応する。 X 1 {\displaystyle X_{1}} により放物型1パラメータ部分代数 SO(0, 1) が生成される。 X 3 {\displaystyle X_{3}} によりブーストの1パラメータ部分代数 SO(1, 1) が生成される。 X 4 {\displaystyle X_{4}} により回転の1パラメータ部分代数 SO(2) が生成される。 X 3 + a X 4 {\displaystyle X_{3}+aX_{4}} ( a ≠ 0 {\displaystyle a\neq 0} は任意) により斜航型変換の1パラメータ部分代数が生成される。 (厳密に言うと、最後の生成子は a が違えば違う類に対応するため、無限の類に対応する。)二次元部分代数については、 X 1 , X 2 {\displaystyle X_{1},X_{2}} により放物型全体のアーベル部分代数が生成される。 X 1 , X 3 {\displaystyle X_{1},X_{3}} により、アフィン群 A(1) に同型な非アーベル部分代数が生成される。 X 3 , X 4 {\displaystyle X_{3},X_{4}} により、不動点対を共有するブースト、回転、斜航型変換からなるアーベル部分代数が生成される。 三次元部分代数については、 X 1 , X 2 , X 3 {\displaystyle X_{1},X_{2},X_{3}} により、「ユークリッド相似群」Hom(2) のリー代数と同型な、ビアンキ V 型部分代数が生成される。 X 1 , X 2 , X 4 {\displaystyle X_{1},X_{2},X_{4}} により、ユークリッド群 E(2) と同型な、ビアンキ VII_0 型部分代数が生成される。 X 2 , X 2 , X 3 + a X 4 {\displaystyle X_{2},X_{2},X_{3}+aX_{4}} (ただし a ≠ 0 {\displaystyle a\neq 0} )により、ビアンキ VII_a 型部分代数が生成される。 X 1 , X 3 , X 5 {\displaystyle X_{1},X_{3},X_{5}} により、双曲平面上の等長変換群であるリー代数 SL(2, R) と同型な、ビアンキ VIII 型部分代数が生成される。 X 4 , X 5 , X 6 {\displaystyle X_{4},X_{5},X_{6}} により、 回転群のリー代数 SO(3) と同型な、ビアンキ IX 型部分代数が生成される。 (ここで、ビアンキ分類とはイタリア人数学者ルイージ・ビアンキ(英語版)による三次元リー代数の分類である。) 四次元部分代数はすべて次に共役である。 X 1 , X 2 , X 3 , X 4 {\displaystyle X_{1},X_{2},X_{3},X_{4}} により、ユークリッド相似変換 群 Sim(2) のリー代数に同型な部分代数が生成される。 これら部分代数は格子を形成し(図を参照)、各部分代数は制限リー群の閉部分群のべき乗により生成される。これらから、クラインの四元群の要素を乗することにより、ローレンツ群の全ての部分群が、共役による違いを除いて、構成できる。 連結リー群の常として、制限ローレンツ群の閉じた部分群の剰余空間、すなわち等質空間は、非常に数学的に興味深い。いくつか簡潔な説明を加えると、 群 Sim(2) は「ヌルライン」、すなわちリーマン球面上の点の であり、等質空間 SO+(1, 3)/Sim(2) は球面 S2 上の共形幾何(英語版)を表現するクライン幾何(英語版)である。 ユークリッド群 SE(2) (の単位元成分)はヌルベクトルの安定化部分群である。よって、等質空間 SO+(1, 3)/SE(2) は質量のない粒子の運動量空間である。幾何学的にはこのクライン幾何はミンコフスキー時空上の光円錐の「縮退した」幾何を表現している。 回転群 SO(3) は時間的ベクトルの安定化部分群である。よって、SO+(1, 3)/SO(3) は質量のある粒子の運動量空間である。幾何学的には、この空間は三次元双曲空間(英語版) H3 にほかならない。
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