レンズ付きフィルムの出現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 01:25 UTC 版)
「レンズ付きフィルム」の記事における「レンズ付きフィルムの出現」の解説
上記のような「カメラとフィルムは分離した製品であり、別個の部品である」という既成概念を破り、最初からカメラにフィルムを内蔵、取り出しは筐体の解体を前提としたのが「レンズ付きフィルム」である。使用者がフィルム装填・取り出しを行う必要はなく、撮影終了後はカメラごと現像・プリントの依頼先に引き渡し、通常のフィルムと同様、現像されたフィルムが返却されると同時にプリントされた写真が渡される(カメラ本体はメーカー側に回収される)。 外部のカメラ機能部分は現像後も返却されず、フィルムを使い切った時点でカメラとしての機能を果たさなくなることから「使い捨てカメラ」と一般からは呼ばれもしたが、フジの「写ルンです」は品名を「レンズ付フィルム」とし、他メーカーも「使い切りカメラ」などと称した(流通面において、カメラの一種ではなくフィルムの一種として扱う必要があるためもある)。写真業界では、1991年に「レンズ付フィルム」を統一呼称とした。資源浪費イメージの忌避や、実際にメーカーでは回収した機能部分を点検してリユースしていることなどを示し「使い捨て」ではない点がアピールされている。 比較的廉価であるが、大衆ユーザーのスナップ写真レベルの撮影には支障ないだけの撮影能力を備えていたこと、そして写真店のみならずフィルムを販売する多様な流通網(観光地の土産物店やスーパーマーケット等)経由で購入でき、「買ってすぐに使用でき、満足できる水準の写真を撮影できる」低廉な簡易カメラとしての特性が、消費者のニーズを開拓したといえる。 当初は、構造を簡易化できる「110フィルム仕様」の製品からスタートしたが、すぐに135フィルム仕様の製品が展開され、市場の主流となった。なお1995年からは、新規格フィルムのAPSフィルムを用いた製品が出現したが、APS規格自体がコンパクトデジタルカメラの勃興で、カメラ市場で失敗したことから市場から無くなり、135フィルム仕様の製品のみが2013年時点でも存続している。 当初は通常のカメラの代用品といった位置付けであったが、ストロボ機能をはじめ、パノラマ、簡易な望遠、水中写真など、当時の普及品コンパクトカメラでは撮れない写真が撮れる、といったコンセプトの商品が現れるなど、デジタルカメラの普及以前には、多様なラインナップのある商品ジャンルに成長した。
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