リベラリズムのアプローチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/23 22:44 UTC 版)
「レジーム論」の記事における「リベラリズムのアプローチ」の解説
レジーム論のリベラリズム的な利益重視アプローチは、「期待の収斂」が存在するので、アナーキー下の協調が覇権国なしに可能であると述べる。個別の国家が実際に協調していることをほかのすべての成員に示す行動の基準を確立することによってレジームは協調を整える。すべての国家が他国の協調を期待するとき、強調を持続させる蓋然性は劇的に高まる。 ネオリベラリズムは、リアリズムが諸国が利益を共有する程度と国家関係の反復的性格を軽視しているという。裏切りが支配的な戦略となっている古典的な囚人のジレンマを使う世界を暗黙のうちにモデル化することで、リアリズムは間違いを起こしている。このモデルと現実の違いは、国家が囚人と違って、囚人同士は二度と出会わないのに対して、国家同士は継続的に協力しなくてならない。今日のある決定は、将来の帰結とつながっているのである。相互協力はしたがって合理的である。繰り返される相対的に小さな協力行動の総計は、終わりのない相互裏切りによって相手から利益を得ようとして一回の行為で受け取る取り分よりも大きい。 繰り返し囚人のジレンマでは、アクターの行動は次の前提で決定される。(1)国家は合理的で、単一で、取り分を最大化するアクターであり、アナーキー状況で、安全保障のジレンマに直面している、(2)現在の行動が将来の帰結と関連している。囚人のジレンマは一回限りではない、(3)将来において、他国が「目には目を戦略」で裏切るかも知れないので、現時点で協力するのは国家の利益である、(4)国家は絶対利得に関心を持つ、つまり効用分析において他国の損得を考えないと理論は仮定する。対照的に、リアリズムは、国家が相対利得に関心を持つと論じる。 おそらくもっとも有名なネオリベラリズムの国際関係論者であるロバート・コヘインは、国際レジームが以下の点で協調の蓋然性を高めると論じる。(1)メンバーの行動を監視し、遵守を報告することによる他国の行動に関する情報の提供、レジームは裏切りの用件を規定し、裏切りに対する処罰規定を明確にしている、このことは、レジームのほかのメンバーに悪用される恐怖を低下させ、誤解の機会を最小限にする、制裁の明文化は秘密裏の裏切りの誘惑を低める。(2)取引費用の低下、協調を制度化することによって、レジームは、将来の合意のコストを低くすることができる。合意に達するコストを低くすることによって、レジームは、将来の協調の可能性を高める。GATTの各ラウンドは、続くラウンドで再び議論する必要のない多くの手続き上の問題を解決し、協調を容易にした。(3)メンバー間の協力の期待を一般化する、相互作用が予見できる将来の間継続するという反復と信条を作ることによって、レジームは、評判の重要性を高め、複雑な戦略の活用を許容する。レジームが協調する誘因と裏切りへの抑止を提供できると主張する研究者もいる。
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