リッピングの原則違法化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/29 15:45 UTC 版)
「リッピング」の記事における「リッピングの原則違法化」の解説
そもそも1999年6月23日公布の著作権法を改正する法律(平成11年法律第77号)により、「技術的保護手段」を回避して複製を可能化し、技術的保護手段の回避を行う装置やソフトウェアの公衆への譲渡等をし、または著作物等に付される権利管理情報の除去等をした場合に著作権等を侵害する行為とみなされることとなった。(このうち、刑事罰を伴うのは回避装置等の譲渡等のみ) 上記改正においては「技術的保護手段」は複製を抑止するための手段である事が要件であり、DVDに用いられるCSSは暗号化のみであって複製自体は抑止していない事から、CSSの暗号化解除行為自体は著作権法によって規制されていなかった。つまり私的使用の目的上、DVDを改変せずに複製し、複製したものを暗号化解除する事により、実質的にリッピングが規制されない状態が続いていた。なお、CSSの暗号化鍵は解析され市中に暗号化解除ソフト「DeCSS」等が出回っていたが、上記改正時点においてはDeCSS等の譲渡等は合法であった。 2012年6月20日成立の著作権法を改正する法律においては(同年10月1日施行)、上記「技術的保護手段」の範疇に「特定の変換」すなわち暗号化技術を含めるように要件が拡大され、これによってDVDのCSSやBlu-rayのAACS等の暗号型技術も、著作権法上の対象となる「技術的保護手段」に追加された。これに伴い、CSS等の保護技術を回避してのDVDのリッピングは私的複製の対象外となり違法行為となった。 これによって、私的使用の目的であっても、DeCSS等によりDVDをリッピングする事が違法となるとともに、DeCSS等の譲渡等が刑事罰を伴って規制されることとなった。 2015年8月には、「DVD Shrink 日本語版」をサーバにアップロードし、そのサイトへのリンクを公開していた業者が著作権法違反の幇助で検挙されている。 なお、CDのSCMS回避については1999年の著作権法改正以降より議論があるが、SCMS対応機器や対応ソフトウェアの複製抑止を回避すると違法であるのはともかく、SCMS非対応の機器・ソフトウェアを用いた場合に違法とする主張は、制度側や利害関係者からは見られない。
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