ヨーロッパの客車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 14:01 UTC 版)
歴史については鉄道車両の歴史#初期の客車と貨車および鉄道車両の歴史#客車の発展も参照。 欧州各国の鉄道では、客車は依然として幅広く使われているものの、21世紀に入ってから輌数を減らしている。 欧州の場合、周辺国と地続きであるため鉄道についても複数の国々に跨ったネットワークが構築されている。しかし、国ごとに電化方式・複線区間の通行方向(右側・左側)・車体寸法・軌間・保安装置などがまちまちであるため、国ごとに機関車を付け替えることができる客車方式が長年にわたって主流となっていた。 近年では、大都市内やその近郊において通勤の利便性を高めるため、日本国内と同様に電車・気動車などの動力分散方式への移行が行われ、通勤形客車列車は少なくなりつつあり、ローカル線でも、合理化の一環として、低床式の新形気動車への置き換えが進んでいる。また、高速鉄道においても動力分散方式への移行(ICE 3など)等の理由により、客車が活躍する舞台は縮小している。例外的に複数の国をまたぐ国際長距離列車については前述の理由により、いまだに客車が主流である。 日本の客車のような「固定編成客車」は少なく、1両単位で運用することが多い。専用の電源車をもつことは少なく、ほとんどの場合電源は機関車から供給されるか、車軸発電機による給電である。 日本ではあまり一般的ではないが、運転台付の客車(制御車)を最後尾に連結し、客車側運転台からの遠隔操作により機関車が客車を押すような運転方法(ペンデルツーク:Pendelzug(独))も一般的である。またTGVやタリスなどの高速列車では、客車に運転台を設けるのではなく、列車の前後に機関車を取り付け、運転時は前後の機関車を同調させる例もある。これらの方法により、駅での方向転換の際、機関車の付け替えを省略することができる。 国際列車を運転する観点から、欧州大陸の客車には、国際列車用の規格である「UIC規格(あるいは「RIC規格」)」が存在する。また、国内用ではあるが、ダブルデッカーも数多く使用されている。 欧州大陸の客車のサイズは、車体長は日本の客車よりも大型で26.4m(UIC-X, UIC-Zなど)、あるいは24.5m(UIC-Yなど)のものが大多数である。しかし車体幅や高さは、日本の客車とそれほど変わらない。
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