メディアを駆使した資金集め
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 21:43 UTC 版)
「シーシェパード」の記事における「メディアを駆使した資金集め」の解説
シーシェパードは、活動資金の大半を各界の著名人をはじめとする支持者や支援企業からの寄付で賄っており、2010年度の収入1,140万米ドル(約8億7,600万円)のうち84%は個人からの寄付で、残りはTシャツなどの商品販売で得ているという。日本の捕鯨やイルカ漁を妨害することによって寄付収入を増やし、それを元手に2009年以降抗議船2隻、撮影用ヘリ1機、攻撃用ゴムボート少なくとも4艘を購入するなど設備増強を行った。 2008年から北米地区で毎週金曜日のゴールデンタイムにアニマルプラネットで放映されている『クジラ戦争』(Whale Wars)は、シーシェパードの活動を記録したドキュメンタリー番組であり、アニマルプラネット歴代2位の視聴率を稼ぎ出す人気番組に成長した。シーシェパードは、同番組を通じて飛躍的に知名度を上げ、同番組は支持者や寄付者を増やすための中核的な宣伝媒体となった。そのため、日本の捕鯨やイルカ漁を「食い物」(農林水産省幹部)にして、寄付金収入を増大させてきたという批判がある。2011年、日本政府は南極海調査捕鯨の中止を決めたが、これにはシーシェパードに肩すかしを食らわせ、これ以上の宣伝用の光景を撮らせることを防ぐことによって経済的な打撃を与えたいという日本側の隠れた狙いがあると報道された。クジラ戦争にはこれ以外にも、危険な妨害行為を伝えながらシーシェパードの反捕鯨プロパガンダを一方的に紹介しているという批判や、同団体幹部が狙撃されたシーンなど、捏造ややらせ演出が指摘されている。一方、米国のメディアでは「捕鯨をめぐる賛否にかかわらず視聴者を楽しませるだろう」(ロサンゼルス・タイムズ)、「スリル満点のアドベンチャー番組」(ボストン・ヘラルド)などと番組を好意的に紹介するものもある。抗議船には、ハリウッド女優のダリル・ハンナやミシェル・ロドリゲスも乗船した。日本での放送予定はないが、米国以外ではオーストラリアなどの反捕鯨国で放送されている。 また、代表のポール・ワトソンが、和歌山県太地町のイルカ漁をテーマにしたドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』に出演するなど、それ以外のメディアにも積極的に登場している。 ピーター・ベスーンの判決が言い渡されたことについて、ワトソンは「ニュージーランドに帰ったら、英雄として迎えられるだろう。裁判は日本の捕鯨の違法性を世界に知らせる宣伝効果があった」とし、「裁判はかえって反捕鯨活動を力強いものにした」と述べ、注目されたことで支援金が集まり、抗議船の装備改良が可能になったほか、メンバーの士気も上がったと主張した。
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