ポケット・シュート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 17:08 UTC 版)
トラック状の走路の直線部分、もしくはカーブ途中から一部直線状に一部飛び出す形で設けられる走路。カーブ地点からの発走は内枠と外枠の有利不利が顕著に現れるほか、接触事故などの危険防止の観点から発走直後の走路をしばらく直線にして危険を回避するために設けられることが多い。 日本では引き込み線(引込線・引込み線)と称されることもある。 このポケット(シュート)が設けられることによって競走の多様な距離設定が行えるようになっている。第2コーナーの奥に設けられる直線走路を第2コーナーのポケット、第4コーナーの奥に設けられる直線走路を第4コーナーのポケットなどと呼ぶ。競馬場によってはポケットと呼ばずにシュートと呼ぶ。第2コーナーのポケットからのスタートになるのは阪神競馬場の芝1800m、京都競馬場の芝1600m・芝1800m、新潟競馬場の芝2000m(内回り芝1600m)、中京競馬場芝1400m、また札幌・函館・福島・小倉の芝1200m、等で、何れも芝コースである。第4コーナーのポケットからのスタートになるのは京都競馬場の芝2400m、中京競馬場の芝2200m等で、新潟競馬場の直線芝1000mの競走に使われる直線コースも広義には第4コーナーのポケットといえる。 また、中京競馬場の芝1600mと東京競馬場芝1800mのスタートは第2コーナーから逆向きにすれば少しカーブを曲がった所から直線走路になっていて、スタート後にほぼ200〜300mをまっすぐ行った後、第2コーナーの角を回って向う正面の直線走路に入る構造になっている。この構造は馬場拡張前の阪神競馬場にもあり、芝1600mのスタートが第2コーナーというよりも第1コーナーの所からのポケットにあり、スタートして300m進んですぐ鋭角に第2コーナーを回る構造で桜花賞で2006年まで使われていた。 なお、東京競馬場の芝2000mと中山競馬場の芝1600mのスタートは第1コーナーのより外側にあって、第2コーナーで本来の走路に合流する構造になっている。 盛岡競馬場には第2コーナーの最奥に400mに渡るポケットが設けられており、マイルチャンピオンシップ南部杯などで用いられるダート1600mはこのポケットの最奥部からの発走である。 外側に芝コース、内側にダートコースが設定されている競馬場(日本の全ての中央競馬場)において、ダートコースに対するポケットが設置されている例もあり、中央競馬においてダートコースに対して設置されているポケットは芝コースを跨ぐ地点のみならずポケット全体が芝コースとなっており、発走後しばらくは芝コースを走行することとなるがこの場合も走路の呼称はあくまでも「ダート○○○○m」とされ、「芝→ダート○○○○m」というようには言われない。 特に京都競馬場と阪神競馬場のダート1400mコースでは芝のポケットを100m以上も走行することとなり競走馬の走路適性が影響を及ぼす可能性もあるほか、合流地点は必然的にコースの外側のほうが芝コースの距離が幾分長くなる為、ポケットからの発走となるダート競走ではスピードが出しやすい芝コースを少しでも長く走れる外枠発走の逃げ・先行馬が有利ともいわれ、馬券購入の際の検討要素として無視出来ない存在となっている。
※この「ポケット・シュート」の解説は、「競馬場」の解説の一部です。
「ポケット・シュート」を含む「競馬場」の記事については、「競馬場」の概要を参照ください。
- ポケット・シュートのページへのリンク