ベータ崩壊の理論とは? わかりやすく解説

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ベータ崩壊の理論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 17:41 UTC 版)

ベータ崩壊」の記事における「ベータ崩壊の理論」の解説

放射性物質放つ放射線は、ヘリウム原子核であるアルファ線α線)、電子であるベータ線β線)、波長の非常に短い電磁波であるガンマ線γ線からなる。ところで、アルファ線ガンマ線エネルギー分布は常に離散的な値を示すが、ベータ線だけはなぜかそのエネルギー分布連続的な値を示す。この不可解なベータ線連続的なエネルギーレベルを説明するためにベータ崩壊の理論が探索された。 まず、ベータ崩壊をする原子核量子力学における状態として連続的な状態を取ると考えられたが、ベータ崩壊をする原子核放出するアルファ線ガンマ線はやはり離散的なものであったことから否定された。次に、はじめはアルファ線ガンマ線同一のエネルギーレベルで放出されベータ線が、二次的に散乱されたり、吸収されるため連続的な値を取るのではないか予想されたが、EllisWooster によって否定された(1927年)。 ヴォルフガング・パウリは、新粒子存在仮定すればベータ崩壊連続エネルギー分布説明できることを指摘した。すなわち、ベータ崩壊においては電子一緒に、何か普通の方法では観測できない未知粒子もう一つ放出されており、ベータ崩壊前後における原子核エネルギーの差は、電子とこの新粒子との間に分けられているため、ベータ線電子)のエネルギーは0からある一定値までの連続的な任意の値を取るのではないかとした(1931年)。 これに対してニールス・ボーア1934年に、ベータ崩壊のような原子核内部現象原子スペクトルなどとは違って、もっと程度の高い本質的に新し物理学範囲属するから、必ずしもエネルギー保存則厳密に成り立たなくても良いという仮説提出しパウリの新粒子説反対した(エネルギー保存仮説)。しかしながらその後このボーアエネルギー保存仮説は、実験及び理論両面からその矛盾指摘され結局パウリの新粒子説優勢となった。そのパウリの新粒子ニュートリノneutrino中性微子)と名付けられ、ベータ崩壊の理論(弱い相互作用理論建設端緒となった詳細は「弱い相互作用」を参照 エネルギー保存則観点から見ると、β+崩壊および電子捕獲陽子静止質量(938.27 MeV)が中性子静止質量(939.57 MeV)よりも小さいため、真空中では本来発生し得ない事象である。この陽子中性子静止質量差よりも、崩壊前後結合エネルギーの差が大きい(Q値が正である)核種のみ、これらの反応起こりえる。

※この「ベータ崩壊の理論」の解説は、「ベータ崩壊」の解説の一部です。
「ベータ崩壊の理論」を含む「ベータ崩壊」の記事については、「ベータ崩壊」の概要を参照ください。

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