ベンゼンアミンとは? わかりやすく解説

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ベンゼンアミン【benzenamine】

読み方:べんぜんあみん

アニリン


アニリン

分子式C6H7N
その他の名称キアノール、アミノフェン、アミノベンゼンフェニルアミン、Kyanol、Aniline、Aminophen、BenzenaminePhenylamineAminobenzene、C.I.76000、1-Aminobenzene、3-Aminobenzene、4-Aminobenzene、Benzen-1-amine
体系名:ベンゼン-1-アミン、3-アミノベンゼン、1-アミノベンゼン、4-アミノベンゼン、ベンゼンアミン、アニリン


アニリン

(ベンゼンアミン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/09 23:33 UTC 版)

アニリン
識別情報
CAS登録番号 62-53-3
KEGG C00292
特性
化学式 C6H7N
モル質量 93.13
示性式 C6H5NH2
外観 無色の液体
密度 1.0217 g/ml, 液体
融点

-6.3 °C, 267 K, 21 °F

沸点

184.13 °C, 457 K, 363 °F

への溶解度 3.6 g/100 mL at 20 ℃
酸解離定数 pKa 27 (共役酸 pKa = 4.87)
塩基解離定数 pKb 9.4202
粘度 3.71 cP (3.71 ;mPa·s at 25 ℃
熱化学
標準燃焼熱 ΔcHo -3394 kJ/mol
危険性
安全データシート(外部リンク) ICSC 0011
EU分類 Toxic (T)
Carc. Cat. 3
Muta. Cat. 3
環境に危険 (N)
NFPA 704
2
3
0
Rフレーズ R23/24/25, R40, R41, R43, R48/23/24/25, R68, R50
Sフレーズ (S1/2), S26, S27, S36/37/39, S45, S46, S61, S63
関連する物質
関連する芳香族アミン 1-ナフチルアミン
2-ナフチルアミン
関連物質 フェニルヒドラジン
ニトロソベンゼン
ニトロベンゼン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アニリン (aniline) はベンゼン水素原子の一つをアミノ基置換した構造を持つ、芳香族化合物のひとつ。アニリンはIUPAC命名法の許容慣用名であるが、系統名ではフェニルアミン (phenylamine) またはベンゼンアミン (benzenamine) となる。ほかに慣用名としてアミノベンゼン (aminobenzene) がある。

染料、ゴムなどの化学製品、農薬や医薬品などを製造する際の中間物質として取り扱われている。

性質

無色透明液体で可燃性である。には難溶だが、アルコールエーテルベンゼンには易溶。弱塩基性であり、塩酸との中和による塩(アニリン塩酸塩)は水に溶ける。性を持ち、接触、吸入により速やかに人体に吸収され、中毒症状を起こす。中毒によってメトヘモグロビンが生成され、高メトヘモグロビン血症によりチアノーゼ呼吸困難を起こし死に至ることもある。飲酒によって症状が悪化するので注意を要する。ビタミンCの摂取が有効である。

さらし粉を加えると赤紫色を呈するが、実験室ではニンヒドリン水溶液を加えて紫系色変化から確認することがある。 また、酸化させると黒くなり、染料や顔料に使われている(アニリンブラック)。無水酢酸を加えるとアセトアニリドになる。ベンゼンスルホン酸を加えるとアニリンベンゼンスルホン酸塩になる。

用途

単独の素材として用いられることは少なく、染料ゴムなどの化学製品、農薬医薬品などを製造する際の中間物質として取り扱われている。

引火点70℃・発火点615℃で、消防法上の第4類危険物(第3石油類)に指定されている。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている[1]

2015年度日本国内生産量は 369,337t、消費量[注釈 1]は 292,251t 、出荷量は、79,510tである[2]。なお2016年以降は、数字秘匿(生産者が一定数以下になると、個々の企業の数値が推測可能になるため、公表されなくなる)のため不明。

歴史

1826年O.ウンフェルドルベンインディゴを強く熱することで新しい有機化合物を得、これを「クリスタリン」と名付けた。1841年、K. フリッツェも同様の実験を行い、インディゴの原料となる植物「アニル (anil)」から「アニリン」の名を与えた。またこれと別に1834年にはルンゲコールタールを蒸留した液体から新規物質を取り出し、「キアノール」と命名していた。後にA・W・ホフマンが彼らの実験を追試し、元素分析を行うことでこれらが全て同一の物質、アニリンであることを証明した。

1856年、当時18歳の少年化学者であったウィリアム・パーキンは、マラリアの特効薬であるキニーネを合成しようとアニリンを酸化する反応を試すうち、偶然紫色の染料(モーブ)を作り出した[3]。彼は資産家であった親を説得し、この染料を作る工場を設立した。これが、以後数百種類製造されることになる合成染料の第1号である。

合成法

アニリンの合成法はいくつか知られているが、工業的な合成において代表的な Béchamp 還元法と接触還元法について述べる。いずれもニトロベンゼン還元(下式)することで合成する。

ニトロベンゼンの還元の一般式

Béchamp 還元法

を用いてニトロベンゼンを還元し、アニリンを合成する方法である。塩酸を用いる場合、途中で生じる塩化鉄(II) はさらに酸化されて塩化鉄(III) になり、それらが反応して四酸化三鉄になると同時に塩酸が再生されるので、塩酸は触媒量でよい(基質の 2–3%)。



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