ヘリベルト・イリグ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 08:20 UTC 版)
「ファントムタイム仮説」の記事における「ヘリベルト・イリグ」の解説
イリグは1947年、バイエルン州のフォーエンシュトラウスに生まれた。イマヌエル・ヴェリコフスキーの終末主義や歴史の再解釈に夢中だったこともあり、「人類史および自然史の再構築協会」(Gesellschaft zur Rekonstruktion der Menschheits und Naturgeschicht)の熱心な会員であった。1989年から1994年には、雑誌『先史-初期-現在』(Vorzeit-Frühzeit-Gegenwart)の編集者として活動していた。1995年以降は、自らマンティス出版社を経営し、作家としてまた出版人として、雑誌『時間の跳躍』(Zeitensprünge)を発行した。年代学の修正にかかわる仕事以外でいえば、彼は哲学者のエゴン・フリーデルの編集人でもある。 中世初期に取り組み始める以前のイリグは、先史時代や古代エジプトの年代についてさまざまな修正案を発表していた。1990年代には彼のさまざまな思い付きがドイツ国内の一般メディアから取りあげられ、非常に有名になった。1996年の『でっちあげの中世』(Das erfundene Mittelalter)は学術的な校訂を経ていたものの、歴史学者たちからはその根本的な誤りを指摘され、まったく受け入れられなかった。1997年には「倫理学と社会科学」誌が、イリグの説に対する批判的検討の場を設け、誌上で歴史学者達によりさまざまな角度から批評された。これ以降、イリグの思い付きについて学術的な検討が加えられることはほとんどなくなったが、ドイツの一般メディアではその後もよく扱われる偽史となった。イリグは少なくとも2013年まではこの「ファントムタイム仮説」に関する著述を続けている。また2013年にはこれまで無縁だった美術史にも手を伸ばしており、ドイツ・ルネサンス期の巨匠であるアントン・ピルグラムについて書いているが、そこでもやはり従来の年代学の修正を試み、マニエリスムという美術のジャンルの歴史を抹殺しようとしている。
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