プリウスミサイルとは? わかりやすく解説

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プリウスミサイル

いわゆるコンビニ車突っ込む事故や、交通法規無視した傍若無人な運転といった、常軌を逸した非常識な運転およびその当該者車両を指す通俗的な呼び方

プリウスミサイルという呼び方問題行動起こす車両トヨタ・プリウスが多い(プリウス乗り問題ある運転手が多い)という経験則的なステレオタイプに基づく呼称である。プリウスだけがこの手事故起こしているというわけで決してない。プリウス2010年代半ば以降つねに新車販売台数の上位を維持し続けている人気車種である。つまり、単に母数が多い。そのため事故車両における同車種の割合相対的に高くなる

なお、プリウスシフトレバー通常走行の「D」(ドライブ)が右下方に位置しており、これは一般的なMTマニュアルトランスミッション車で「R」後進)にギア入れ位置であるため、操作紛らわしいのでは、と指摘する見解もあるが因果関係定かでない

昨今では、小学校集団登校の列に自動車突っ込んで児童死傷させる事故相次いだり、高齢者により高速道路逆走相次いで報告されたり、悪質なあおり運転」が死亡事故を招く事例報告されたりと、法規制では御しきれない道路交通上の問題多数噴出している。

プリウス・ミサイル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/04 22:33 UTC 版)

プリウス・ミサイルとは、トヨタ自動車が製造・販売しているトヨタ・プリウス交通事故の加害車両として揶揄したインターネットスラングである[1]類義語として「プリウスアタック」や「コンビニキラー」というスラングが使われることもある[2]

由来

2010年代後半以降問題となった相次ぐ高齢ドライバーによるアクセルとブレーキの踏み間違い死傷事故をめぐり、報道される事故車両の多くがプリウスだったことにちなみ、プリウスが暴走して突っ込む様子をミサイル攻撃になぞらえる形でインターネット上で急速に広がった[1]。特に、2019年に発生し高齢ドライバーによる事故が社会問題化する原因の一つとなった池袋暴走事故の加害車両がプリウスだったことや[注 1]、その他の高齢ドライバーによる複数の事故でもプリウスが事故車両だったことが、「プリウスミサイル」というスラングが広まる要因となったと考えられている[6]

検証

「プリウスミサイル」のスラングが広まる以前のデータではあるが、国土交通省による検証ではプリウスの事故率は他のトヨタ車と変わらないことが示されている[7]。また、車種ごとの自動車保険の保険料を算出する基準となる損害保険料率算出機構による「型式別料率クラス」では、「プリウスミサイル」のスラングが広まった以後に決定された2022年の料率クラスでも他の車種と同程度の設定とされており、プリウスが突出して事故を多発させているわけではないとされている[1]

このほか、車両の不具合が暴走事故につながる可能性については先述の池袋暴走事故の際に検討がなされており、販売台数と走行距離の関係、プリウスのブレーキシステムの冗長性などを考慮した結果、少なくとも当該事故の加害車両である2代目プリウスに関しては天文学的なスケールで低い確率となり、現実的にありえないとの結論に至っている[8]

原因

前述したように突出してプリウスが事故を多発させているわけではなく、車両不具合によって暴走事故が起きる確率も天文学的なスケールで低いことがわかっている[6][8]。しかし、現実には「プリウスミサイル」のスラングに代表される「プリウスは危険」という認識が広まった。記者でノンフィクション作家の窪田順生は、以下に述べる複数の要因が重なったことを指摘している[9]

  • そもそもの母数の多さ。2017年時点で累計400万台もの販売台数となっており市中を走行しているところを目撃する回数も多いため、自然と事故や不具合の報告が多くなっている。
  • プリウス特有の操作方法。特に(2代目以降の)シフトレバー周りの仕様が特殊であったことから、高齢者がパニックを起こしやすいのではないかという見方がある。
  • プリウスユーザーの年齢構成。トヨタはプリウスが「60代以上を中心に」支持を得ていると述べており、子育てを終えた夫婦が大型車を手放しプリウスに乗り換えるという流れを中心に高齢者の間で広く普及している。
  • 高齢ドライバーの意識の問題。特に高齢男性の間で自らの運転技術を過信し、運転をやめない傾向がある。

これらの要因により「プリウスに乗った高齢者」の事故が増加してそれが報道され、「プリウス」というビッグブランドの持つ影響力が相まって、「プリウスは危険」という認識が広まっていったと窪田は結論付けている[9]

影響と対策

2019年に行われたトヨタの株主総会では、株主から相次ぐプリウスの暴走事故について質問が出され、当時トヨタの副社長だった吉田守孝が株主に対して心配をかけたことを陳謝した上で、個々の事例に対する捜査には全面的に協力し、今後の安全対策について「安全なクルマ社会のためにできることはすべてやる」と回答した。その後2020年7月、トヨタはプリウスのマイナーチェンジに合わせ、踏み間違いを検知して急加速を抑制する「急アクセル時加速抑制機能」を追加することを発表した。この機能は誤った急アクセルを検知して警報を発すると共に加速を抑制するものであるが、投入時点では誤作動の可能性を排除できなかったため、ユーザーが機能を使うか選択できるようにして導入された。この際、元々予定されていたマイナーチェンジに合わせて機能の追加を行うために急ピッチで開発が行われたことを担当者が示唆しており、「プリウスミサイル」のイメージ脱却を急ぐため、誤作動が生じる可能性を覚悟したうえで機能を追加した可能性が指摘されている[10]

また、2022年に発表された5代目プリウスでは先述した要因のうち「プリウス特有の操作方法」がはらむ問題について改良が施されており、シフトレバー周りの仕様を一般的な車の仕様に合わせたほか、アクセルとブレーキの踏み間違いに対する抑制効果が期待される「オルガン式ペダル」が採用される[注 2]など、運転操作のわかりやすさや事故防止を重視した設計が取り入れられた。この改良についても、トヨタが「プリウスミサイル」のイメージ脱却を図るために行ったのではないかという見解が述べられている[11]

脚注

注釈

  1. ^ この事故の刑事裁判で加害者の男は、「アクセルとブレーキの踏み間違いではなく車の異常で事故が起きた」と主張したが[3]、メーカー側コメントおよび判決で否定されている[4][5]
  2. ^ マツダが初代CX-5以降の新型車に全車オルガン式アクセルペダルを採用している理由の一つでもある。

出典

  1. ^ a b c reserved, Copyright © NEXTAGE Co , Ltd All rights. “プリウスミサイルの真相と事故防止策!事故が多いのは勘違い?”. ネクステージ. 2024年4月24日閲覧。
  2. ^ コンビニキラーこと車ごと突っ込むプリウスミサイル! なぜ事故が多発?”. 車情報ラウンジ「Car Lounge」 (2018年2月14日). 2022年8月12日閲覧。
  3. ^ 『読売新聞』2020年10月9日東京朝刊第一社会面31頁「池袋暴走初公判 「車に異常」無罪主張 アクセル 踏み間違い否認」(読売新聞東京本社)
  4. ^ 千葉卓朗 (2021年6月21日). “「車両に異常なかった」池袋暴走事故、トヨタがコメント”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 2021年6月22日閲覧。オリジナルの2021年6月22日時点におけるアーカイブ。
  5. ^ “【詳報】池袋暴走事故 飯塚被告に禁錮5年の実刑判決 裁判長「過失は重大。深い反省の念ない」”. 東京新聞 (中日新聞東京本社). (2021年9月2日). オリジナルの2021年9月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210902110207/https://www.tokyo-np.co.jp/article/128430 2021年9月2日閲覧。  {{cite news}}: 不明な引数|1=が空白で指定されています。 (説明)
  6. ^ a b 「プリウスミサイル」という呼び名は正しいのか? 急発進・暴走を防止せよ!! (ベストカーWeb)”. 講談社ビーシー. 2022年8月12日閲覧。
  7. ^ ハイブリッド車等の交通事故実態について (PDF) - 国土交通省、2023年2月15日閲覧
  8. ^ a b 池袋暴走、車の欠陥?「ブレーキ踏んで加速した」上級国民の主張はありえるのか(くるまのニュース) - メディア・ヴァーグ(2020年12月15日)、2023年2月15日閲覧
  9. ^ a b なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日 - ITmedia(2019年4月23日)、2023年2月15日閲覧
  10. ^ 大事なのは事故を未然に防ぐこと トヨタが「急アクセル時加速抑制機能」を導入した理由 - webCG(2020年7月1日)、2023年2月15日閲覧
  11. ^ もう「プリウスミサイル」とは呼ばせない! 世界で話題のトヨタ新型「5代目プリウス」がメチャ凄い! もはや「プリウスロケット」といえる走りの魅力とは(くるまのニュース) - メディア・ヴァーグ(2022年12月22日)、2023年2月15日閲覧

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