フェーベ環
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「 土星の環#フェーベ環」も参照 フェーベ環は土星の環の一つである。土星の赤道および他の環から 27° 傾いている。土星半径の128倍の距離から207倍の距離まで広がっており、フェーベの軌道は土星半径の215倍とフェーベ環の領域よりやや外にある。また、環の厚みは土星の直径のおよそ20倍である。 フェーベ環の物質はフェーベへの微小隕石の衝突によって発生したチリが由来だと考えられているため、フェーベと同様に逆行軌道で公転しているはずである。従って、内側を順行軌道で公転するイアペトゥスとは逆向きの動きをしていることになる。環の物質は土星に向かって徐々に内側へと移動しており、一部はイアペトゥスの公転の先行半球に衝突する。これが、イアペトゥスの表面の二面性の要因になっていると考えられている。 フェーベ環は非常に大きいものの、希薄であるためほとんど見えない。フェーベ環はNASAの赤外線宇宙望遠鏡であるスピッツァー宇宙望遠鏡の観測で発見された。
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フェーベ環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 21:42 UTC 版)
2009年10月6日、フェーベのちょうど内側に希薄な物質のディスクが発見されたことが公表された。このディスクは、発見当時は地球に横を向けていた。非常に大きい(地球から見ると、満月の2倍の大きさに見える)が、可視光では見えず、NASAはスピッツァー宇宙望遠鏡で赤外線観測を行い、発見した。全体の範囲は、観測可能な土星の半径の128倍から207倍を超え、計算によると、外側は土星の半径の300倍、内側は土星の半径の59倍で、イアペトゥスの軌道に相当する。フェーベは、土星の半径の平均215倍の軌道を公転する。この環の厚さは、土星の半径の約20倍である。環を構成する粒子は、フェーベに流星塵が衝突して放出されたものと推測されるが、内側の衛星イアペトゥスの軌道とは逆行する。環は、土星の軌道平面内にあるが、土星の赤道面や他の環の面から27°傾いている。フェーベは、土星の軌道面から5°傾いており(フェーベは逆行しているため、しばしば175°と記される)、環の面からの上下へのずれは、観測される環の厚さとほぼ同じ土星半径の約40倍になる。 環の存在は、1970年にスティーヴン・ソーターが提唱し、バージニア大学のAnne J. VerbiscerとMichael F. Skrutskieとメリーランド大学カレッジパーク校のDouglas P. Hamiltonが発見した。Verbiscer、SkrutskieとHamiltonは、コーネル大学の同級生であった。 環の物質は、ポインティング・ロバートソン効果により減速して内側に向かって移動し、イアペトゥスの進行方向側の半球に衝突する。物質の降下により、イアペトゥスの進行方向側の半球は、暗く赤くなる(天王星のオベロンとチタニアで見られる現象と似ている)が、イアペトゥスの二面性の直接の原因となるほどではない。降下した物質は、暑い領域で氷が昇華し、寒い領域で蒸気が凝縮するという熱の偏りに対する正のフィードバックとして働く。これにより、「ラグ」と呼ばれる暗い残渣が進行方向側の半球の赤道付近の領域の大部分を覆い、極地方や進行方向と反対側の半球を覆う明るい氷とのコントラストになる。
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