フェミサイドの観点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 03:45 UTC 版)
「小田急線刺傷事件」の記事における「フェミサイドの観点」の解説
容疑者の男は捜査本部の調べに対し、「6年ほど前から幸せそうな女性を見ると殺してやりたいと思うようになった」と女性に対して強い殺意を持っていた旨の供述を繰り返した。また、犯行前日に食料品店における万引きを女性店員から摘発されたことが犯行決意の遠因として挙げられている。 男によるこうした言動から、捜査関係者は、男が一方的に女性への歪んだ感情を募らせていったとみており、女性を狙った「ミソジニー犯罪」や「ヘイトクライム」、「フェミサイド」の可能性が指摘されている。 社会学者の上野千鶴子は2016年に韓国で発生した「江南ミソジニー殺人事件」との類似があると指摘した。 弁護士の伊藤和子は、「女性を狙った憎悪犯罪(ヘイトクライム)、フェミサイドという性格が色濃いことが懸念されます」とコメントした。著作家の北原みのりは、本事件をフェミサイドであると指摘したうえで、「女性に向けられる殺意や暴力があることを社会が認めないのは女性の命が軽く見られていることの表れでもあると思います。殺人や性犯罪だけでなく、すれ違いざまにわざと体当たりしてくるぶつかり男もそうです。彼らは屈強な男を狙うことはない。相手を選んでいるのです」とコメントした。 ジャーナリストの堀潤は、過去に秋葉原通り魔事件を取材したときの失敗の経験を踏まえて、「今回の事件を機に“フェミサイド”について目が向くのは良いことだと思うが、事件を起こした動機や自死の理由などを一つ要因だけに結びつけて語るのは良くないと考えている。」とコメントした。また、リディラバ代表の安部敏樹は、「これがフェミサイドなのかは慎重な議論を要する」という一方で、「電車という空間の中では日常的に痴漢が行われているわけで、男性から見えているものと、女性から見えているものには違いがあるということは認識すべきだろう。その意味では、今回の議論を機に、フェミサイドという女性を標的にした犯罪があるということを、みんなが知るべきだと思う」とコメントした。 本事件の被害者への支援として公益社団法人全国被害者支援ネットワークへの寄付の呼びかけもなされ、開始から数日で350人からの寄付が集まった。
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