パリ‐クラブとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > パリ‐クラブの意味・解説 

パリ‐クラブ【The Paris Club】

読み方:ぱりくらぶ

公的債務政府債務および政府保証付債務)の繰り延べ交渉を行う債権国会議


パリクラブ(ぱりくらぶ)(Paris club)

公的債務に関する主要債権国国際会議

1週間会期毎年10回くらい、問題抱え債務国対外債務に関係のある主要債権国集まってパリ話し合いをするもの。フランス事務局となって運営している。

1956年アルゼンチン対外債務支払い滞っていたとき、返済時期繰り延べ決めるため債権国パリ集まったのがパリクラブの始まりその後国際収支悪化累積債務問題直面した国々に対して返済時期猶予与えるなど返済条件緩めるための話し合いが行われている。

このようなパリクラブが形成されたのは、債権国国際収支悪化した債務国から融資などを回収するとき、債務国経済情勢配慮しながら、公平かつ確実に行いたいという狙いがある。もちろん、国際通貨基金(IMF)や世界銀行といった正式な国際機関が果たす役割もあるが、パリクラブのような話し合いの場が果たす役割大きい。

先進7か国財相・中銀行総裁会議(G7)は12日1000ドル(約12兆円)を超えるイラク対外債務について、パリクラブを関与させる方針合意した融資返済免除認めかどうかなどが検討課題となる。

(2003.04.14更新


パリクラブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 05:03 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
パリクラブの参加国

パリクラブフランス語: Club de Paris)は、フランス財務省で年に10回[1] ほど開催される、主要な債権国と債務国が二国間のリスケジュール(返済の繰り延べ)協議を行う非公式会合の呼称である。1956年に創設。

概要

1956年にアルゼンチンが延滞していた対外債務のリスケジュールを、債権国がパリに集まり話し合いを行ったことから始まった[2]フランス経済・財政・産業省の、財務総局が事務局として運営を行っている[3]

IMF(国際通貨基金)や世界銀行のような国際機関ではなく、あくまで債権国の代表者による非公式の会合である[2]。 返済負担の軽減措置として、債務返済の繰り延べの枠組みや、債権国間の負担の公平性の確保などについて協議が行われる[1]

パリクラブは政府・公的機関の債権者の集まりであるが、これに対し民間金融機関の債権者が集まり、債務国に対する救済処置(リスケジュール)を話し合うロンドンクラブがある[4]

組織

2017年現在、フランスオーストリアオーストラリアベルギーブラジルカナダデンマークフィンランドドイツアイルランドイスラエルイタリア韓国オランダノルウェーロシアスペインスウェーデンスイスイギリス米国日本、以上合計22ヶ国が恒常的メンバーとして参加している[1]

上記の他、対象債務国によっては、トルコサウジアラビア南アフリカが、恒久メンバーと債務国の了解のもと随時出席している[3]。 また、IMF世界銀行地域開発銀行UNCTADOECDの代表も、オブザーバーとして参加している[3]

債権

債務国、債権国ともに「政府」または「公的機関」が関与(供与)したものが債権となり、具体的には下記の公的機関が保険、保証、融資を提供しているものが対象となる[5]

(1)貿易保険機関 [注 1]
(2)輸出入銀行 [注 2]
(3)ODA管轄機関 [注 2]

救済処置

パリクラブにおける債務救済措置には、おもに"債務繰延措置"と"債務削減措置"の2つがある[1][6]

  • 債務繰延措置
債務の責任総額(返済残高)は減額せず、返済スケジュールの繰り延べ(リスケジュール)を行う。かつてはほとんどの債務救済に繰延措置がとられていた。
  • 債務削減措置
一定の条件のもと、債務の総額を削減する。公的資金への依存度が高い最貧国から債務削減の要請が高まり、削減率を引き上げながら債務削減の枠組みが発展した。

債務救済措置は、先進国首脳会議(サミット)での議論が契機となり、現在では債務国の負担能力に応じ、様々な救済措置が用意されている[7]

注釈

  1. ^ 日本の場合は、独立行政法人日本貿易保険が該当する[1]
  2. ^ a b 日本の場合は、国際協力銀行(JBIC)が該当する[5]

脚注

  1. ^ a b c d e 貿易保険に関する債権回収 ~ パリクラブの枠組みを通じた債権回収 - 経済産業省(2017年3月27日閲覧)
  2. ^ a b パリクラブとは - 独立行政法人日本貿易保険(2017年3月27日閲覧)
  3. ^ a b c パリクラブの組織 - 独立行政法人日本貿易保険(2017年3月27日閲覧)
  4. ^ パリクラブ - 独立行政法人日本貿易保険(2017年3月27日閲覧)
  5. ^ a b パリクラブの債権とは - 独立行政法人日本貿易保険(2017年3月27日閲覧)
  6. ^ パリクラブにおける債務救済 - 独立行政法人日本貿易保険(2017年3月27日閲覧)
  7. ^ パリクラブにおける債務救済措置の変遷 - 経済産業省(2017年3月27日閲覧)

参考文献

  • 松井謙一郎『パリクラブ―公的債務リスケ交渉の最前線で』財経詳報社、1989年 ISBN 978-4-88177892-0

関連項目

外部リンク


「パリクラブ」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「パリ‐クラブ」の関連用語

パリ‐クラブのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



パリ‐クラブのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
時事用語のABC時事用語のABC
Copyright©2025 時事用語のABC All Rights Reserved.
マネーパートナーズマネーパートナーズ
Copyright © 2025MONEY PARTNERS CO,LTD All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのパリクラブ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS